水木しげる先生の「ほんまにオレはアホやろか」を読みました。
『ほんまにオレはアホやろか/水木しげる著(新潮文庫)』という本を古本で読みました。
1978年にポプラ社から、1998年には社会批評社から刊行されたもので、2002年に文庫化されました。
水木先生の一代記という感じです。
幼い頃からの、人からは“出来の悪い子”と見られていた時分の昆虫などに夢中になる様子も何の誇張もなく素直に書かれていて、水木先生そのものがもうそこにいました。
学校では成績が悪く、その後も次々といったい何回様々な学校に通ったのか、数えるのも大変なくらいですが、そこでの苦労や、仕事にありつくための苦労、ありついたがロクでもない仕事だったりと散々なことが書かれていますが、ご本人はいたって平然というか、挫けることがない・・。
そして、片腕を失うことになった戦争で、ラバウルに行った話には、読んでいるこちらが倒れそうになるくらいの苛烈な状況が書かれていました。
そんな時でも現地人と仲良くなり、友情を築いていく水木先生・・すごい。
その楽園のようなところに住んでいた現地人の方とは、「7年後に来るよ」という約束は果たせず、数十年の年月を経て再訪するのですが、“大歓待”を受けます。
そんな話も淡々と書かれていて、水木先生ってほんとうにすごい人だとあらためて思ったのでした。
水木先生が紙芝居作家からやがて漫画家になっていく「超・苦労話」も書かれていました。
常人では、くじけてしまって、不幸なことになりそうなのに、それでも生き生きと、淡々と生きていく姿に感銘も受けました。
私も先生の「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」「悪魔くん」などには大変大きな影響を受けましたし、もう夢中で読んでいたものでした。
それぞれにテレビ化されたものについても実に面白かった。
今回、ある程度事前には色々なところで得た知識で、存じ上げていたこともありましたが、でもここに書かれているような過酷な状況についてはあまり詳しくありませんでした。
ご本人が書かれたリアルな生き方に激しく動揺しつつ読ませてもらい、あらためて水木先生の偉大なことがわかりました。
一度境港にある先生の記念館を訪れたことがあるのですが、また出雲にお参りに行く際には、足を延ばしてもう一度行ってみようと思います。
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