「本は眺めたり触ったりが楽しい/青山南」を読みました。
『本は眺めたり触ったりが楽しい/青山南著(ちくま文庫)』という本を読みました。
近年の私にしては珍しく新刊本です ^^;
著者、青山さんの文は、若い頃「本の雑誌」でよく拝見していましたが、実に読みやすい文体で心地よく読みました。
本の内容はというと、「本を読む」ってことはどういうことを言うんだろう・・というもので、それを自由に考えていくという、今まであったかな?という本でした。
タイトルにもあるとおり、本は眺めたり、触ったりするだけでもいいのだとも書かれていて、私もそう思います。
中に書かれていましたが、本を片手に散歩する、読まなくてもそれだけでもいい(^_^;)という極端なことでも、それでも私もいいと思う。
図書館に行き、たくさんの本が並んでいるのを見に行くだけの人の話も書かれていましたが、それもよし!だと思いました ^_^;
読んでいて、「ドッグイヤー」とよく言いますが、気になったところの角を折っている本を古本で手に入れることもあります。
古本として手に入れたときは少しがっかりしますが・・(それを全部元に戻さないと読む気にならないのです、私)、でもそんな本を手にして、前の所有者が何を気にかけていたかがわかったりするのも読書のひとつの楽しみであるのかもしれません。
誰かの言葉を引用していましたが、そんなドッグイヤーのことを「おできの跡」みたいだなんて表現して、次に読む人がちょっと気味悪がる気持ちもわかります。
また、二葉亭四迷が欧文の特色は「声を出して読むと抑揚が整うている」という言葉も取り上げられていました。
日本人としては、だれよりも早くそれを察知したらしいです。
翻訳に意欲を燃やしていた四迷は、「外国文を翻訳しようとするからには、必ずやその文調をも移さねばならぬ」として、「原文の音調を呑み込んで、それを移す」ためにカンマやピリオドの数も原文のままにして、語数も原文と同じくし、大変な苦労をした話も書かれていました。
初めて聞く話でしたが、とても感心し、興味深く思いました。
また、日本ではあまりないと思いますが、欧米では「朗読会」がけっこう盛んに催されているという話も書かれていて、「行ってみたいなぁ」と思いました。
その本の内容が自分が黙読しただけではわからなかったところについて気づくかもしれないと思いました。
本を読むということ自体について色々考えたりして、しかも著者自身が楽しんでいる本、面白く読みました。
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