俳句を詠んでみる_0085【 終活に 込める霊(たましい) 空蝉(うつせみ)か 】
「自分の死亡届を書きたい」と窓口に来た老人と相対して一句。
【 終活に 込める霊(たましい) 空蝉(うつせみ)か 】
《背景》季語:空蝉[晩夏]
住民関係の届出の窓口にいた時、矍鑠(かくしゃく)とした老人が「死亡届の書き方を教えてください」と現れた。
「葬儀社の方が死亡診断書を持ってくると思うので、それと一体となっている届出書に家族と相談しながら記入すれば書けますよ」と伝えると・・・。
「いや、私の死亡届だ。健康保険の死亡見舞金については、このあいだ聞いてきた。今日は戸籍届出を勉強する」
「ご自身の・・ですか・・?」
「そうだ、家族になんかまかせておけないから、自分で死ぬ前に下書きを作って渡しておく」
「わかりました」とお教えした。
自分が抜け出た殻を見ながら人生を振り返っているような光景だった。
« 「グダグダの種/阿川佐和子」を読みました。 | トップページ | 俳句を詠んでみる_0086【 やすんばの 自然に 銀竜草(ギンリョウソウ) 生ゆ 】 »
「不思議&恐怖体験」カテゴリの記事
- 「冥界からの電話/佐藤愛子」を読みました。(2025.06.10)
- 俳句を詠んでみる_0453【 緑蔭 奥宮(おくのみや)に光刺す 】(2025.05.30)
- 俳句を詠んでみる_0440【 夏兆(きざ)す 金運守りの列 長く 】(2025.05.15)
- 俳句を詠んでみる_0437【 春惜む 釣石段に津波跡 】(2025.05.12)
- 「妖怪画談/水木しげる」を読みました。(2025.04.26)
「しみじみモード、私の気持ち」カテゴリの記事
- 俳句を詠んでみる_0488【 竹落葉(たけおちば) 半ば死んで 生きるを知る 】(2025.07.06)
- 「どうせ、あちらへは手ぶらで行く/城山三郎」を読みました。(2025.07.05)
- 俳句を詠んでみる_0472【 炎暑に 古き職場へ 映写のよう 】(2025.06.19)
- 俳句を詠んでみる_0464【 世の不穏に 安居(あんご)し 句と対峙する 】(2025.06.11)
- 俳句を詠んでみる_0461【 風吹き 天竺牡丹に 耳寄せる 】(2025.06.07)
「俳句を詠んでみる」カテゴリの記事
- 俳句を詠んでみる_0496【 夕虹 束の間 上げた手に雨粒 】(2025.07.14)
- 俳句を詠んでみる_0495【 緑蔭の 石段登り 二宮へ 】(2025.07.13)
- 俳句を詠んでみる_0494【 夏の夕 冷えた麦酒に キーマカレー 】(2025.07.12)
- 俳句を詠んでみる_0493【 草取 草刈 夫婦阿呍之息(あうんのいき) 】(2025.07.11)
- 俳句を詠んでみる_0492【 お元気で 夏の雲間に 浮かぶ顔 】(2025.07.10)
« 「グダグダの種/阿川佐和子」を読みました。 | トップページ | 俳句を詠んでみる_0086【 やすんばの 自然に 銀竜草(ギンリョウソウ) 生ゆ 】 »
コメント