「言葉のゆくえ 俳句短歌の招待席/坪内稔典・永田和宏」を読みました。
『言葉のゆくえ 俳句短歌の招待席/坪内稔典・永田和宏(京都新聞出版センター)』という本を古本で手に入れ読みました。
この本は、俳人、歌人を代表するような坪内稔典さん、永田和宏さんのお二人が、「笑い」「卒業」「送り火」などのキーワードを挙げて、俳句・短歌それぞれに句・歌を持ってきてそれを鑑賞し、さらにお二人が詠んだそれぞれのキーワードに関連する句・短歌を互いが鑑賞・批評するという形で構成されていました。
同じキーワードで俳句と短歌を鑑賞すると、読者の私にもその感触がかなり異なることがはっきりとわかりました。
この本の中にはお二人の対談形式のコーナーもあるのですが、そこで俳句初心者の私も初めて知ったというか、認識したのは短歌はもともと格調高いというか、人事や日常の些事を歌っていたものではなく、俳句は私が思っていたのとは逆にけっこう下品なことを基とするような感じだったんだということ。
たぶん私が多くの短歌にふれたのは、俵万智さんの「サラダ記念日」以降なので、短歌は日常の出来事や感じたことを自由な感覚で歌っているものだという感じに受け取っていたのだと思います。
そして、現在は実際にそんな感じになっているのかもしれません。
短歌に詳しくないので言い切れませんが。
逆に俳句についは、テレビ番組などで、愉快なものなどもありますが、季語や五七五という限られた文字数で拘束されているので割と“固い”感じで、美しいものや芸術的なもの、自然の光景などが詠まれていて、格調高いものが多いなどという認識になっていました。
しかし、その成り立ちからいうと逆なんですね。
紹介されている俳人、歌人らの句・歌はそれぞれに俳句と短歌の特徴がよく出ていて興味深く、たのしく読みましたが、坪内さん永田さんの丁々発止の対談でのやり取りも面白く、“仲良く喧嘩”している感じで微笑ましいものがありました(#^.^#)
私自身、まだ俳句を詠み始めたのはこの三月からですので、短歌の方に足を踏み入れるのは先のことになると思いますが、俳句とは異なるアプローチで様々なことを歌ってみたいという気持ちはあります。
ただ、気をつけねばならないのは、この本にも書かれていましたが、今現在の短歌は現在の自己の思いや考えをかなりリアルに突き詰めているようなものが多く、自分というものを見つめ過ぎて“ドツボ”に嵌まり、精神的に身動きが取れなくなりそうなこと・・。
俳句は逆に字数が少ないので、精神的には余白と自由度が高く、書いていて自分の考えとは逆のことを詠んでも、「それもいいかも」と思えてしまう部分があります。
とりあえずは、今感じている俳句の良さを自分のいいように取って、俳句を楽しんでいきたいと思っています。
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