「物情騒然。人生は五十一から/小林信彦」を読みました。
『物情騒然。人生は五十一から/小林信彦著(文藝春秋)』という本を読みました。
2002年に発行されたもので、古本で手に入れました。
内容は、「週刊文春」に2001年1月から12月に掲載された著者・小林さんの文をまとめたものです。
小林信彦さんの文は、いろいろなところで今までもお見かけし、読んできましたが、テレビ番組のことから、映画について、芸能人などの人物像、食べ物について、海外での出来事を含めた政治的なこと、言葉について、街並みについて、落語について、などなど多岐に渡り、しかも1932年生まれという大先輩なので、もう私の知識や記憶などではとても追いつかない文も多く、中にはまったくわからず、お手上げになってしまったものもありました。
マリリン・モンローが有名になる前に出演していた映画はこんなだった、という話も興味深かった。夫であったディマジオとの来日時のことも昨日のことのように書かれていました。
当時の日本がどんな感覚でモンローをとらえていたのかもなんとなくわかりました。
まだ伊東四朗さんが目立たなかった頃の様子、そして“只者ではない”芸人としての片鱗を見せていて、それに気づいていた人も少なからずいた、という話も面白かった。
「肉じゃがは、本当にお袋の味か?」という文も頷くことが多かった。
今ではよくそんなこと言っているけど、昔はそんなこと言わなかった・・というのも私には実感がありました。
まだまだ若かった頃の小泉今日子を見て、もう今現在の小泉今日子を想像しているような“フシ”のある文もありました。
実に鋭い観察眼というか、直感も感じました。
また、落語の志ん朝さんが亡くなられた時のショックも何度かに渡り、長文で書かれていましたが、私も今そのときの録音を聞いてみると、本当に惜しい人を亡くしたと感じます。
63歳で亡くなられたと記憶しますが、70代以降どうなっていくのか見たかった、聞きたかったと思います。
その他、ここに書かれている文章は、“珠玉”の文で、わくわくしながら読みました。
テンポのいい、読み進むのが楽しい本でした。
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