「けさの一句/村上護」を読みました。
『けさの一句/村上護(信濃毎日新聞社)』という本を読みました。
古本で見つけ、一年365日分の句が選ばれて、そこに著者の実に心ある解説が付されています。
パラパラっと見て、これは面白そうだし、自分が句を詠むときの参考になると思い手に入れました。
著者、村上護氏は1972年に評伝「放浪の俳人山頭火」がベストセラーになり、のちに「坂口安吾」や「中原中也」「尾崎放哉」の評伝も書かれています。
著名俳人との対談も多く、俳句文学賞の選考委員なども務められています。
この本で選ばれている句は、実に古典的なものから、金子兜太さんの無季の句、味わい深い句、先鋭的で驚くような句まで実にバラエティーに富んでいました。
子と母と麦の月夜のねむい径(みち) 長谷川素逝
という句は、麦畑での取り入れシーズンに長雨などもあり、急ぎ取り入れせねばと日が暮れてしまい、母子が帰っていく様子が詠まれていて、私も幼いときのこのような記憶が残っていて、とてもいい句で“ジン”としてしまいました。
考える時はひらがなさくらんぼ 飯島ユキ
何か考える時って、私も<ひらがな>というか、大和ことばが頭の中にあります。
それと“さくらんぼ”が実にいい感じに詠まれていて、いいなあと思いました。
井戸の暗さにわが顔を見出す 尾崎放哉
これも小さい頃に井戸をのぞきこんだ時、実際に経験したことで、臨場感がありました。
短夜も病めば無明の長夜とも 早崎明
まさに実感です。病気で悩みの底にあるときには夜は・・長い。
天災と戦争とテロ夏荒ぶ 小檜山繁子
・・今の世の中ですね。いうことなし。
旧姓に振り向く笑窪秋麗 源鬼彦
旧姓が持つその人のある時代が声をかけられたことによって浮かび上がるような句、なかなか気づかないことだと思い、良い句だと思いました。
今、選択的夫婦別姓が話題になっている時だからこそ、またこの句がキラッと光ったような気がします。
それにしても、本当にやる気があるのか「選択的夫婦別姓」・・議員の先生の真意は全く見えない。
以上、この本を読んでみて、感じたこと、気になった句を挙げてみました。
とてもいい本で、今後の参考になります。
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