「パオロ・マッツァリーノの日本史漫談」を読みました。
『パオロ・マッツァリーノの日本史漫談/パオロ・マッツァリーノ著(二見書房)』という本を古本で見つけ、一度も読んだことのない著者の本を読んでみました。
いつ発行したものかも本自体には記されていませんでしたが、どうやら調べてみると2011年ではないかと思われます。
著者経歴にある大学は実在せず、この「パオロ・マッツァリーノ」という名前も、イタリア生まれと本人が書いていますが、国籍もなんだかあやしい感じ・・ちょっと何者かがわかりません。
何者かがわからないにもかかわらず、この本、この文章、この考え方はどうにもこうにも魅力的でした。
日本人の名前(氏ではなく、名の方です)について、その変遷を遡って色々な文献を徹底的に調べて意外な結果を発表したり、よく芸能人などが結婚発表時につかう「笑いの絶えない家庭にしたい」という言葉に疑問を持ち、いったい何時、誰が言いだしたのかを調べたり、どうでもよさそうだけど、でも興味を持ってしまうような事案について、データを検証し尽くして結論を導き出す・・という手法がとても面白く、食い入るように読んでしまいました。
漫画家に対して、その出版元というか、編集者から「先生にはげましのお便りをだそう」という、私が子供の頃から馴染みある少年誌などの巻末にあった文についても、「先生」という言葉の使い方や、“はげまし”という・・“感想”ではない言い方についてもふれていて、それは今まで私もなんとなくひっかかっていたことでした。
イタリア生まれで、現在は千葉県民、イタリアン大学日本文化研究科卒という存在しない大学を経歴で名乗っているのもあやしいし、日本人だよなあきっと・・という不信感もありましたが、でも、朝日・読売の一般人では利用できないデータベースを使って調べた情報はとても詳細で驚くべき調査力でもありました。
奇妙だが説得力あるこの本、今までに読んだことのない「文化史」という括りだけではない世界が見えてくる本でした。
面白かった。
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