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『図解 眠れなくなるほど面白い 疲労回復の話/梶本修身著(日本文芸社)』という本を興味を持ち、読んでみました。
著者の梶本修身さんがラジオに出演して語られていたのを聞き、語り口が面白く、それに“引っ張られた”^_^; 感じで手に入れたのです。
著者の梶本さんは医学博士で、東京疲労・睡眠クリニック院長です。健康本だけでなく、メディア出演も多数のようで、今回、私はラジオで初めて知ることになりました。
簡単に言うと、『疲労の正体は「脳の疲れ」だった』ということで、それをメインテーマに様々な事例を挙げて疲労回復の方法について書かれていました。
楽しいから疲れない・・と、趣味の作業などは休まずに続けてしまう人が多いと思われますが(私もそんなとろこがある)、それが“超危険”なことだというのです。
「疲れのアラーム」を隠してしまい、それが過労死にまで至るという・・('Д')
疲れのアラームに気づかないと、自律神経の乱れが原因で自律神経失調症ということになり、放置すると深刻なダメージを引き起こす・・なんか思い当たる時期がありました。
とにかく色々なアドバイスが書かれていましたが、少し意外だっのが、栄養ドリンクは飲むほど疲れていく、とか、サプリメントは疲労回復効果には意味ないどころか逆効果だとか、お酒は疲労回復面ではメリットなし、とか、疲れたときはスタミナ食ってのはウソ、だとか、温泉やサウナは疲労回復にとって逆効果(・。・;だとか、仕事帰りにジムに寄るなんてのもダメ、意外なことばかりでした。
そして、疲労回復に効果ある実際の方法が書かれているのですが、それはここで書くと営業妨害なので、興味ある方はこの本実際に手にとってみてください。
暮も押し詰まって疲労の原因について新しいことを知りました。
やれることは少し実践してみようかと思っているところです。
『仏教人生読本/岡本かの子著(中公文庫)』を古本で見つけ、読んでみました。
昭和9年に刊行された『佛教讀本(のちに「人生読本」として改題再刊)を、「仏教人生読本」と改題し、平成13年、中公文庫として刊行したものです。
岡本かの子氏といえば、あの岡本太郎の母であり、私の知っていることと言えば歌人として活躍した人、そして結婚後に夫の放蕩に悩み、精神を病んだのちには夫がかの子に他の男との恋愛を認め、しかもその男を夫婦二人と同居させ、さらにその男が去ったのちにも他の男二人と欧米への旅に出掛け(これには子の岡本太郎も同行させている)、ヨーロッパの芸術と文化を吸収させるに寄与したという事実がある・・簡単に言うとこんなことでした。
常人には考えられない世界ですが、こんなことのあった後にかの子を支えたのは、この本に書かれている仏教でした。
この本は、難しくて初めて聞くような仏教用語が多用されているのですが、人が生きていくうえでの実例をわかりやすく挙げながら説明しているので、なんだか“腑に落ちる”のです。
ただ、例示される人生の様子があまりにも多岐に渡り、しかも自分にとって刺激になり、そうかそういう考え方をすると納得できるのか・・などということになり、その都度自分の中に落とし込んでいたら約300頁のこの本、一週間ほどかかって読むことになってしまいました。
かの子が再三にわたって言っていることは、「これはこうだ」と決めつけず、自分の感情や、従来の考え方を押さえつけるようなことなく、“ほど良い立ち位置”を見つけて、人間というものの行い、考え方をするのがよいということだと、私は読みました。
いちばん私が興味深く、“面白い”と感じた部分を長いのですが引用いたします。
結婚当初、恋愛生活を夫婦愛と間違えていたものは、結婚後二年、三年、五年と経つうちに、余りに身近く打ち融けてお互いに異性としての魅力もなくなり、兄妹のごとく、師弟のごとく、母子のごとく、友達のごとく、感じて来るのに唖然として新婚の快い夢が覚めるのであります。
この時が結婚倦怠期であって、最も戒心をする時であります。
相互の矛盾欠点が眼に立ち、赤裸々の男女が鼻突き合わせて、遠慮会釈もなく、ザックバランに、二人が本当にこれから先きの長い生涯を一緒に暮らし得らるるや否やを吟味するのであります。
その刹那こそ真剣にして悲壮な場面であります。
この際、男の社会的地位も事業も風采も何の“たし”にもなりませんし、女の器量も表情も勘定のうちに入りません。
ただただ赤裸々な一男性と一女性とがお互いの愛と、ともに担い合う意力とを吟味するのであります。
かくしてお互いが信頼し得るものと決定したとき、その決定は仏教の真締に相当するものであって、物の真実性を認めたものであります。
決して誤算がありません。この時の結合はもはや人智や意志の結合ではなくて、因縁の理による自然力の結合であります。
私はこの結合を機として、本当の夫婦愛、本当の夫婦生活が始まるのだと思います。
・・・引用が長くてすみませんでしたが、この文は深いと思い、何度も読み返してしまいました。
一冊読むのにもたいへんな「読本」でしたが、この歳になった私にも色々と考えることがありました。
『ひとりで生きる -大人の流儀9- /伊集院静著(講談社)』を古本で見つけ、読んでみました。
2019年発行の本で、初出は「週刊現代」の2018年10月~2019年8月に掲載されたもので、その中から単行本化にあたり抜粋、修正がなされています。
いつも読むことによって心強くしてくれた伊集院さんの本ですが、伊集院さんは昨年11月に亡くなられました。まだまだ力強く叱って欲しかったと今でも思います。
いつもどおりの“伊集院節”ですが、私の心に残った部分を少しだけ抜き出してみます。
〇勘違いと傲慢は、その人の成長をたちまち止まらせる。
・・・天才と言われて、その気になったら終わるのと同じであると伊集院さんはおっしゃっています。
そんな人、有名人でも何人も見てきましたが、私の仕事人生の中でもそんな勘違いをして途中から道筋を外れて行った人がいました。
未知の領域にあるものを発見したり、創造したりするということは、勘違いや傲慢な態度をしている暇も無いほど励まないと出来ないということなのだと伊集院さんはおっしゃっています。
〇※伊集院さんを拾ってくれた会社社長の言葉(故人ですが、ラジオのジャズ番組の司会を長いことやられていて私はファンでした。“お味噌ならハナマルキ”の歌を作った人です。貿易会社を経営されていた。) → 「碌な学歴も、家系さえないおまえが、この社会で生きて行くには他人の十倍、いや百倍働け!三十五歳までは土、日、祝日はないと思って働いて、ようやく人と並ぶんだぞ」
・・・大学を卒業しても就職せず、けっこう“ヤバい”仕事をして、フラフラしていた伊集院さんは、この社長に拾われ、二年間、鍛えられ、時にはやさしい言葉をかけてもらっていたようです。
この社長が亡くなられるまでずっと人生を教えてくれたと感謝していました。
〇時折、銀座の遊び場でネエさん方が、「今のお客さんの時計見ました? XXXXで三千万円するのよ」と耳にした伊集院さん、「よほどの成金か、バカなのだろう」とおっしゃっています。
・・・私もまったくそう思います。学生時代の友達と就職して十数年後に同窓会などで会う機会があると、時計を見せて「これ、わかる?いくらだと思う」と聞いてきた“羽振りの良さそうなヤツ”が何人かいましたが、相手にしませんでした。
というようなことが、たくさん書かれていました。
いつものように自分はそんなに間違った生き方をしてはいないんじゃないか、という確認ができたような気がします。
『本を読む/安野光雅著(山川出版社)』を古本で見つけ、読みました。
2016年発行の本です。挿し絵はもちろん、著者・安野さんご本人で、簡素だけど実に味わいのある絵でした。
安野さんが興味を持って読んだ本の色々を、その一部を引用しつつ、本を読むことがどんなに楽しいことか、わくわくすることか、そして自分の中に何ごとかをもたらせてくれることか、ということが、とても安野さんらしい熱心さで書かれていました。
あとがきなどにも書かれていましたが、2016年のこの頃でも本はどんどん読まれなくなっていたようです。
2024年の今は、さらにその状況は加速し、本屋さんの無い市町村もますます増えているようです。
安野さんも書かれていますが、明らかにテレビやインターネットなどで得るものとは、本を読むことで得るものは異なると私も思います。
本は読みながら自分で考えていかないと先に進まないし、それが個々の“考え方”に大きな影響を与えていると思います。
つい先ごろの選挙等でも、自分で考えずに他人が垂れ流ししたものを丸ごと信じてしまい、いったん自分の中で考え、意見・意志を構築する段階がすっ飛ばされているように感じます。
それを安野さんは読んだ本文の引用と、自分が得た考え方を丁寧に書き表して、とても心地よい本に仕上げてくれていました。
こういう本、読んだ方がいいよなぁ・・と思いながら読了いたしました。
映画『バクダッド・カフェ(BAGDAD CAFE)/1987年 西ドイツ 監督:パーシー・アドロン 脚本・製作:エレオノーレ&パーシー・アドロン 出演:マリアン・ネ・ゼーゲブレヒト、CCH・パウンダー、ジャック・パランス、クリスティーネ・カウフマン、ジョージ・アクィラー、モニカ・カルフーン、ダーロン・フラッグ』を見て来ました。
1987年の映画ですが、当時、日本では1989年に公開され、ミニシアターブームの象徴となっていた作品だったのだそうです。
今回は4Kリマスターされ、この2024年に見ることが出来たというわけです。
流れる曲は、アカデミー賞歌曲賞にノミネートされ、数多くのアーティストがカバーした名曲「コーリング・ユー」でした。私にも聞き覚えのある、この映画に“ぴたり”と合う曲です。
アメリカ西部、モハヴェ砂漠にたたずむ寂れたモーテル「バクダッド・カフェ」に現れた場違いな風貌のドイツ人旅行者の女性「ジャスミン」が主人公で、アメリカ旅行の道中に夫と喧嘩して車を降り、間違って夫の持ち物を持って別れてしまい、そのままモーテルに住み込みます。
カフェの店主も女性で、夫を追い出したばかり、子供も問題を抱え、不機嫌な態度で生活し、そこにジャスミンがやって来て、不信感を持ちつつ物語は進行するのですが、ジャスミンの朗らかさが周りを巻き込んで店はなんと活気づいていく。
カフェの周囲の人達との関係も面白く、さらに映像の美しくも寂しいような不思議さが手伝って、とても魅力的な映画になっていました。
2024年の現在に見ても、今どきの映画と遜色ないというか、むしろこちらの方が傑出した作品だと思いました。
映像、音楽、登場人物、奇妙なストーリー、どれもとても惹き付けられる良い映画でした。
35年経ってもリバイバル上映されるだけのことはあると感心しました。
『珈琲が呼ぶ/片岡義男著(光文社)』を古本で見つけ、読んでみました。
2018年初版発行の本です。
とにかく珈琲にまつわる文がたくさん書かれているのですが、どのエピソードもやたらと音楽、映画などの知識がただ事ではない著者の、あまりにもマニアックで詳しい記述に驚くばかりです。
もう、まったく“太刀打ちできない”細部に渡るエピソードが散りばめられていて、面白いけどついていけない・・というのが実際のところでした。
ビートルズの四人が雑誌に載ったときの写真と、そこにある実際のサインのエピソードもありましたが、私がたまたまビートルズの来日時のことなど色々調べて知っていたからついていけましたが、ビートルズ・ファンでない人には“ちんぷんかんぷん”な話ではないかと思いました。
なので、他のミュージシャンや、映画やスターの話題など、名前を知っているだけの人も多々登場していましたが、たぶん知っている人には極上の話題が提供されているであろうにも関わらず、私にはまったくもってわからない・・ ^_^;
また、どうしても欲しい古いレコードなどについて、知人にお願いして探してもらう話もありました。
どうしてもその曲、その人のプレイなどが聞きたいというわけですが、人に頼んで、受け取るときのやり取りも小説を読んでいるかのような展開で、どこまでが本当の話で、何がフィクションなのか、けむに巻かれたような気分で読みました。
あまりにも“ぎっしり”と詰め込まれた“血も滴るステーキ”のような話題に指をくわえ、涎をたらして見ているだけ・・というような感じになってしまいました。
もう一度、それぞれのミュージシャンなどのことを調べてから読んでみると、さらに何倍も楽しめそうだと思いました。
映画『フード・インク ポスト・コロナ(FOOD,INC,2)/2023年 アメリカ 製作・監督:ロバート・ケナー、メリッサ・ロブレド 出演:マイケル・ポーラン、ゲラルド・レイエス・チャベス、エリック・シュローサー、トニー・トンプソン、サラ・ロイド、ジョン・テスター、コリー・ブッカー、ドナルド・トランプ(アーカイブ)』を見ました。
第82回アカデミー賞「長編ドキュメンタリー映画賞」ノミネートの『フード・インク』。
そして今回の作品では2020年に起こったパンデミック後のアメリカの現実を描いた映画となっていました。
前作が3館上映からスタートし、やがて24週のロングランとなり、大ヒット作に。
日本でも2011年劇場公開。東日本大震災により中断しながらもクリーンヒットしました。
前作の当時から巨大食品企業の独占が一層進み、個人農家は衰退、貧富の差が広がり、多国籍企業による利益拡大のみを追及する効率的だけど、脆弱なフード・システムの問題が発生しているという状況をわかりやすく、強く、問題提起していました。
農家が多い地域なのにその町ではファストフードの店ばかり、様々な科学的に加工されたものが注入された食品ばかり食べ、農家をやっているのに健康を害する人が増加したり、人工甘味料を使用することにより、脳が糖分摂取が足りないと判断してしまい、より多く食べなくては・・という命令を身体に出してしまい、通常の1.5倍の食料を摂取してしまうという実態を研究成果として出していくシーンもありました。
でも、大企業はその研究成果について難癖をつける。運動不足が悪いのだとか、自己抑制できないことを企業のせいにしているなどと・・。
新たな農業の方法にチャレンジする人や、現状を訴え、変革するために議員になる人などの様子も見ることが出来ましたが、アメリカの食糧生産事情が世界に与える影響は大きく、反面教師的に参考にする部分と、良心に従って真実と対峙し、頑張る人達の様子も心強く参考になりました。
こういう映画が果たして今の日本で作れるのだろうかと思いました。特に昨今のSNSを利用した無法地帯のような現状を見て。
『新 田中角栄名語録/小林吉弥著(プレジデント社)』を古本で読みました。
12月8日のこのブログで「田中角栄 100の言葉」という宝島社編集の本をご紹介しましたが、同じ古本屋の棚に隣同士に置かれていました。
思わず両方とも手に取り、結局二冊とも読むことになりました。
今回は政治評論家で、23年間に渡り田中角栄取材にエネルギーを注いだ方が書いた田中語録です。
こちらも興味深く読みました。
「人を叱るときは“サシ”でやれ。褒めるときは人前でやることだ。」
という言葉が印象に残りました。
私の仕事人生で、上司であった人達の多くが上記の正反対のことをしていました。
皆の前で厳しく、見せしめのように叱り、褒めるときは二人きりの時に「まあ、よくやったかもな・・」って感じで(^-^;仕方なく褒めたという印象でした。ほんとは褒めたくなかったんでしょう。
それから首相官邸の警護をしていた出入口の署員ボックス(当時の警視庁麹町署の管轄)に向かって、クルマで通るときに、わざわざ自分で窓を開け、片手を上げて必ず『ご苦労さん』と声をかけていたエピソードが載っていました。
田中派担当記者が「なぜ『ご苦労さん』とまで言うのか」と愚問をぶつけると、「当たり前のことじゃないかね」とサラリと言ったそうです。
私が東京勤務時に、麻布十番納涼祭りという数十万人規模の入場者がいるイベントに参加したのですが、当時の局長が休日の東京の現場まで地元からわざわざ訪れて「ご苦労さん」と声を掛けてくれ、しかもイベント用のTシャツにすぐさま着替えてくれて、テントの前に立ち、お客さんの呼び込みをしてくれたのを思い出しました。
やろうと思って出来ることではないと思いました。
ほんとうにそういう人なのです。
しかも、前の人通りが激しく、落ちているゴミを箒と塵取りで率先して掃除してくださったのも印象的でした。
ようするに、田中氏もそういうことなんです。
心から思っていないことは自然にやることは出来ないのだと思います。
上記の他にも角栄氏らしいエピソードが満載で、参考になる言動がたくさん載っていました。
前回の田中角栄本に続いて、勉強になる本でした。
『思えばたくさん呑んできた/椎名誠著(草思社)』を読みました。私にしては珍しく“まっさら”の新刊本です。
椎名さんといえば、焚火、海、川、山、異国、秘境の地などで色々な酒を飲んでいる様子を今まで何度読んだことでしょうか。
その度に、椎名さんと酒、特にビールは切っても切れない関係にあると誰もが感じていたと思います。
その「酒と椎名さん」の関係性の「集大成」が本書と言っても過言ではないでしょう。
椎名さんは作家になる前に銀座の会社勤めをしていて、その頃から私も新人時代に経験した先輩との飲み、会社の宴会のあの頃の飲みも経験していて、そんな経験をしてきた人ですから、その後の数十人での“怒涛の焚火前での男達の酒”なんてなんでもないわけです。
むしろ、今の若い人たちの宴会嫌いな様子や、そもそもビールが苦い、酒が嫌い、なんてそんなこと理解の範疇に無いことでしょう。
そのような飲み会の話以外にも、シングルモルトウイスキーやグラッパ、ラム酒の話など、じっくりと国外で飲んだ酒についても語ってくれています。
さらに酒と共に何を肴にしたのか、どんな人達と、どんな状況で、どこの海・川・山で、どこの国で何を味わったのか、今までの椎名さんの本にも様々なことが書かれていましたが、この本ではその“おいしいところ”を選りすぐって紹介しています。
酒好き、椎名さん好きな方は読んで損のない、面白本でした。
読んでいるうちに何か酒が飲みたくなってきた・・。
『田中角栄 100の言葉 -日本人に贈る人生と仕事の心得-/別冊宝島編集部・編(宝島社)』を古本で見つけ、読んでみました。
2015年2月に初版発行していて、私が入手した本では、同年7月で既に第9刷発行となっています。とても人気があったことがうかがえます。
私も今になると、角栄氏の発言や行動はとても気になります。
特に今の政治家の様子を見ていると、それと比べてみたいと思うのです。
100ある言葉から私も気になったものをいくつか挙げてみたいと思います。
〇人の悪口は言わないほうがいい。言いたければ便所で一人で言え。自分が悪口を言われたときは気にするな。
・・今の人、政治家は特に、こんな人はほとんどいないと思います。
〇人間誰しも、若いときはみんな偉くなりたいと思うものだ。しかし、そう簡単じゃない。経験も、知識も、素養もなくてしゃべってばかりいるのは誰も相手にしなくなる。
・・政治家にも多いSNSを駆使して“ネット大道芸”よろしくペラペラとしゃべっている薄っぺらい輩を思い出しました。
〇どんな発言をすればマスコミに気に入られるか。大きく書かれるかと考える人間がいる。こういうのが一番悪い。政治家としても大成しない。
・・今、こんなのばっかり。
〇いい政治というのは国民生活の片隅にあるものだ。目立たずつつましく国民の後ろに控えている。吹きすぎて行く風---政治はそれで良い。
・・国民はささやかな幸せを求めているだけなのに、大きなことを言って前面に立つ目立ちたがり屋の政治家のあの顔、この顔が浮かびます。
〇人の悪口を言ったり、自分が過去に犯した過ちを反省せず自分がすべて正しいとする考え方は国のなかでも外でも通用しない。
・・私もそう思っていたが、なんの反省もせず、自分が正しいと言い張り、再び表舞台に上ってきたあの男のことを言っているみたいだと思いました。
〇戦争を知っている世代が社会の中核にある間はいいが、戦争を知らない世代ばかりになると日本は怖いことになる。
・・今、まさになろうとしています。
以上、まだまだ気になる言葉ばかりでした。
この本の続編のような本も同時に手に入れているので、また読みましたら感想を書きたいと思います。
『すっぽんの首/椎名誠著(文春文庫)』を古本で見つけ、読みました。
1990年代後半に小説新潮や別冊文藝春秋などに書かれたエッセイをまとめたもので、単行本としては2000年に、文庫化は2003年となっていました。
椎名さんの年齢は文中にも何度も出て来ますが、50歳くらいの頃です。
食べ物の話や、海外のトイレ事情、外国のホテルでの怪談など様々な出来事が紹介され、当時の全盛期の面白さで書かれていました。
沖縄のとある島に行ったときの話も面白かった。
その“スジ”の方がたぶん“ヤバい”理由があってその島に身を潜めているのだが、旅館や食堂、飲み屋などは「南原様」と島で呼ばれているそのスジの人専用の席がいつも用意されていて、めっちゃヤバそうですが、椎名さんは会って、一緒に飲みに行ったりして仲良くなったりしています。
しかも、その島の警察署長も同席していて、署長さんは南原様の同窓生らしい・・。
その「南原様」との“可笑し”な付き合い方の話も面白かった。
椎名さんらしく、まったく恐れたりしていません。
また、椎名さんがストアズ・レポートという業界関係誌の編集をしていた若かりし頃、あの三越の岡田氏が君臨していた時代の武道館での記念行事のことや、パリ三越の開店行事などについても思い出して書かれていて、常軌を逸した岡田氏の行動についても書かれていました。
当時椎名さんは27歳。
提灯記事を書き、その狂乱の世界にいたときのことについても詳しくふれていました。
その後の岡田氏の運命は皆さんご存知のとおりです。
「満つれば欠くる」という言葉を地で行くような展開でした。
久しぶりに“イキのいい”頃の椎名さんの文を読んで、自分も学生時代に戻ったような気になりました。
懐かしいエピソードがいっぱいの本でした。
『谷中レトロカメラ店の謎日和/柊サナカ著(宝島社文庫)』を古本で見つけ、読んでみました。
2015年書き下ろし作品となっていました。
巻末に参考文献として載っている様々なカメラ雑誌や書籍の数々を見てもクラッシック・カメラに対する知識が本文中でふんだんに繰り広げられている所以がわかりました。
そのクラッシック・カメラにまつわる事件や出来事が実に巧みに書かれていて、“謎解き”がとても面白い。
主人公は、今宮写真機店の店主(クラッシック・カメラを取り扱い、修理も行っていてる)の男性と、そこにアルバイトで勤めることになった女性の二人ですが、事件・事象が起こったあとに丁寧な推察・推測と、心温まる気持ちの籠った解決方法が心地よく感じられました。
また、ステレオカメラという珍しいカメラで撮ったのではないかと思われる女性が何処の誰で今現在存在しているのかということの調査を依頼され、「立体写真ファンサイト」にアップされた写真だけの資料で本人にたどり着くという章は、唸るくらいの見事な展開で驚きました。
ラストでは、主人公のうちのアルバイト女性が実はどんな境遇の人だったのかが明かになるのですが、そこも思いもしなかったことになっていて、胸がジンとなったのでした。
最後までどの章も面白い小説でした。古本で見つけてよかった。
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