「心を癒す音楽/北山修 編・著」を読みました。
『心を癒す音楽/北山修 編・著(講談社)』を古本で見つけ、読みました。
2005年発行の本で、「九州大学人間環境学研究院北山研究室」で行われたミュージック・デザイン・プロジェクトが、《こころの専門家》たちに、これまでの人生で癒された曲を選んでもらい、ヒーリング・ミュージックの傾向を探ったものです。
この本では北山修さんが編集し、35人の方がそれぞれの曲にまつわる思い出を書いてもらう形になっています。
そんな中で、音楽がこころに与える影響を解き明かそうとしています。
曲のジャンルは多岐に渡り、ジャズ、ロック、ポップス、クラッシック、歌謡曲、フォーク・ソングなどなどでした。
読んでみると、それぞれの方が特に若い多感な時期に聞いた音楽が多かったようです。
私が気になったのは、ビートルズの「ヘイ・ジュード」との関りを挙げた須賀節代(外苑神経科臨床心理士)さんの文でした。
ヘイ・ジュードは、ジョン・レノンとシンシアの離婚に不安を感じていた息子のジュリアンを励まそうとしてポール・マッカートニーが書いたものですが、私にとっても後に歌詞を知る前から、なぜか励まされる感覚のある曲でした。
須賀さんは、さらに深く考え、人は胎内にあっては母子一体だけど、出産と同時にその居心地のよかった場所から追い出される。
そこで人は初めて「傷つき」を体験するのだとおっしゃっています。
その傷つきを埋めようとして、あるいは胎内で得られていた母子一体感を得ようとして、様々な行動をするのだというのです。
それは恋愛行動であったり、飲酒だったり、喫煙、音楽に酔いしれる、映画や演劇の世界で遊んだりすることなどだ・・とおっしゃっていて、私はかなり納得いたしました。
文化活動や芸術、問題行動などをして、いつかは現実に引き戻される。
そこに「切なさ」を感じる。・・・とてもよくわかる ^_^;
現実を感じながらも一時的な幻想世界に酔うことで、人はエネルギーを得て行く。
それは「遊び」の世界。
逆に現実世界を否定し、幻想の世界に生き続けようとするとき、依存症や摂食障害といった問題行動を呈することになる、という理論はよく理解できました。
ヘイ・ジュードには、「一体感」と「切なさ」とを同時に感じながら、この歌にまつわるような「優しさ」に包まれることで癒されて、現実に向かう力がでる、そんなことが内包されているというわけです。
なんだか、私がこの曲に感じていて、言葉に出来なかったことをすべてまとめて教えてもらったような気がします。
こんな話題をそれぞれの心の専門家が語るこの本、とても内容の深い、良い本でした。
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