「本屋通いのビタミン剤/井狩春男」を読みました。
『本屋通いのビタミン剤/井狩春男著(ちくま文庫)』を古本で読みました。
1990年に筑摩書房から刊行されたものの1993年の文庫化版です。
古いものですが、私も夢中で本を読んでいた頃なので、出ていた話題が当時を彷彿とさせて、懐かしくもあり、あの頃の本と本屋さんの勢いを感じました。
何度も話題に出てきたのは、「サラダ記念日/俵万智」でした。
空前の大ベストセラーで、しかも短歌の本なんて考えられなかったことだったと思います。
その頃の出版業界の活況や、実際の業界の内幕なども書かれていて実に面白かった。
さらに私の記憶にもありますが、椎名誠さんと椎名さんが編集長を務める「本の雑誌」の人気が当時はかなりのものであったことがわかる記述がたくさんありました。
私も夢中になっていたクチなので、よくわかります。
雑誌というものが、かなりの隆盛だった時代が今にすると「ほんまかいな?!」ということになっていて、隔世の感があります。
著者の井狩さんは取次の仕入部に勤務されていた方ですが、私はラジオで井狩さんのお話しを何度か聞く機会がありました。
どんな本が売れるか、ということに関しても、「装丁」がかなり関係していることや、表紙の色、テレビ等で芸能人がその本にふれた発言をした、タイトルだけで売れることもある、などなど実に興味深い話でした。
それについてもこの本でふれられていました。
時代が時代なので、アナログレコード盤を本として売る(※本としての委託販売なので、返品が効くという利点がある)ことのメリットや、カセットブックなんて今やなんだかわからない人も多いものについても“新しい手法”として書かれていました。
とにかく、本というのものの魅力に“憑りつかれ”、本と共に人生を歩んできた方のこの本は、本好きには実に面白いものでした。
あの頃は田舎でも、町内に何軒も本屋があり、東京に出かければ、本屋がいくつもある、今にして思えば夢のような世の中でした。
懐かしかったのですが、現状を鑑みると、ちょっと寂しくなる読書となりました。
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