「受け月/伊集院静」を読みました。
『受け月/伊集院静著(文春文庫)』を古本で読みました。
1992年単行本で出版され、1995年文庫化されたものです。
七つの短編からなっている短編集でした。
どの話も伊集院さんも若い頃野球選手だったのですが、野球の選手、監督などに因んだ話になっていて、夫婦の問題、親子の問題、男女の問題などに絡んで味わいのある人生模様が描かれていました。
野球というものは不思議なもので、何か“哀感”というか、“やるせない気持ち”や、心の中に存在する“支え”のようなものと馴染むスポーツだという気がします。
私も就職した頃から何年間かに渡って、中学時代の友達が作った草野球チームに入っていたことがあります。
私は学校の部活などで野球をやったことはありませんでしたが、チームメートは皆高校では野球部、そして大学に進学した者も大学で野球をやっていた強者ばかりでした。
レベルが違うのですが、それでも何とかチームの中で頑張り、その中で友情や、それぞれが抱えている悩み・問題なども感じたりしていたことを思い出します。
なぜか野球はそういう人生模様とうまく絡んで、ある一定の役割を果たしていたと思います。
この伊集院さんの短編集も、それぞれの話が野球というスポーツと絡み合い、夫婦や恋人の関係、人生の先輩との関りなどに深みを与えていました。
伊集院さんの小説は場面転換がまるでテレビや映画のカットがスパッと切り替わるように展開していて、過去と未来が素早く入れ替わったり、別の場所に入れ替わったりして、それがとても小気味よく、テンポのいいものでした。
さらに、極端に酷いことになったり、極悪人が現れるでもなく、かと言ってハッピーエンドでもなく、人が決意したり、諦めたりする中で人生にけじめを着けて行く様子が淡々と描かれていました。
絶妙な筆致で描かれたそれぞれの人生をしみじみと味わいながら読み終えました。
静かにこれからの自分のことを考えることにもなりました。
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