「人質の朗読会/小川洋子」を読みました。
『人質の朗読会/小川洋子著(中公文庫)』を古本で見つけ読みました。
2011年に中央公論社から刊行されたものの2014年文庫化版です。
不思議な小説でした。
日本からの旅行会社のツアーに参加し、地球の裏側にある国の山岳地帯で反政府ゲリラの襲撃を受け、捉えられた八人の人質と、人質救出作戦を実行した政府軍兵士の物語です。
人質は山の中の小屋に監禁され、その小屋に特殊部隊がひそかに盗聴器を仕掛け、救出の機会を探っているのですが、ヘッドフォンから聞こえてくる盗聴器からの音声には犯人グループの会話ではなく、人質たちが毎夜一人ずつ自らが書いた物語を朗読している・・その朗読の内容が九つの物語としてここに収められているのです。
その物語というのが、実にその人それぞれの人生の中の出来事や、経験、不思議な感覚など、今まで誰にも語らなかったようなこと、どうでもいいようで、その人ごとにとても大切な内容の物語なのです。
どの物語も、私が生まれてから一度も聞いたことのないような展開のストーリーであり、「ああ、こんな感覚は自分にもあったけど、文章化するような具体化の出来ないものだ」と思いました。
あまりにも不思議な物語九編と、そしてこの小説の設定自体が聞いたこともないようなもので、ずっと不思議な感覚を持ち続けているうちに読み終えました。
のちにラジオドラマにもなったようですが、今年読んだ本の中でも心の奥深く入ってきた印象深い作品でした。
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