「安心感/加藤諦三著」を読みました。
『安心感/加藤諦三著(PHP文庫)』を古本で見つけ、読みました。
1982年に大和書房から刊行されたものを、1994年に単行本化したものでした。
時代は古いが「自己不安」を抱える人という問題は今もなお一向に減らずに存在しているという気がして手に取ったわけです。
著者の加藤諦三先生については、ラジオ・ニッポン放送の「テレフォン人生相談」で昔から私にはお馴染みです。
1938年生まれの加藤先生は、今でも“矍鑠(かくしゃく)”とされていますが、この本の時代ではまさに全盛期だと思われます。
永遠のテーマに挑まれていて、しかも内容は“本気も本気”モードで書かれていて、読むのには体力が必要でした。
難しくて内容を読み切れたかというと、私の読解力ではまだまだ読み切れなかったわけですが、不安というものは「受け身の人間」が傷つきやすいという心理が発端である・・というふうに読み取りました。
甘えから出てくる要求 → 他人からどう扱われるか → 甘えた人間は傷つきやすい → 甘えと受け身的依存心 → 劣等感を持つ人間は他人の評価を気にする・・・という流れになってくる。
これは今の時代も変っていないんじゃないかと思いました。
そんな内容の中、気になった部分は・・
「自分が加害者であるという立場にもかかわらず、被害者意識に立ってものをいうということは非常に楽である。 自分は加害者でありながらも、被害者的立場を意識的にとることは、気持ちの上では楽なことである。 “悪いのは、自分ではなくて、あの人である”“自分はこれだけ誠意を持ってやったのに、あの人は自分を裏切った”その他諸々、われわれにとって、被害者意識に立ってものをいうことは楽なのである。」
というところでした。
昨今の選挙活動で、SNSで、選挙で選ばれたあとに色々なことが発覚してしまった人の行動で、たぁくさんそんな人をお見かけしました。
1980年代から40年以上も経て、問題はより顕在化し、雪だるまのように膨れているような気がしました。
この本を読んで、解決方法のヒントにはなるけれども、問題はよりモンスター化しているので、またまた新たな分析、解析が必要な世の中の状況なのだな・・と思ったのでした。
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