「死にたくなったら電話して/李龍徳」を読みました。
『死にたくなったら電話して/李龍徳(イ・ヨンドク)(河出文庫)』を古本で見つけ、読みました。
著者は1976年生まれの在日韓国人三世の方で、この「死にたくなったら・・」で第51回文藝賞を受賞してデビューされています。「あなたが竹槍で突き刺す前に」で第42回野間文芸新人賞も受賞されています。
2014年に刊行されたものの文庫化で2021年に発行されたものを読みました。
事前に知識を入れずに読みましたが、登場人物は主人公と、主人公の恋人となるキャバクラ嬢も含め、どの人物もどの人物も悪意ある人、あるいは人のことなんかどうでもいい人、世の中に流されている人、あるいは世の流れの中で淀んでいる人、善意ある人もひとりは出てきたかに見えるが、それも何か歪んでいるように見える人だったりする。
話の展開は読み物としてはスリリングだったり、そんな風にうまくいくんだ、ということだったりで、作者はそう思ってはいないと思いますが、あまりにも“作られた”感じがしました。
主人公はじめ、どの登場人物にも共感できないし、吐き気のするような言葉のやり取りがあって、本当に吐きそうになりながら読みました。
人や人がつくっている世の中が大嫌いで、破滅してしまえばいい、自分なんか死んでしまった方がいいのだ、友達などいなくていいと言いながら友達を呼んだり、呼ばれたりしてさらに破滅的、破壊的な展開が続き、これを乗り越えたというか、読了してやり過ごした後に何かが見えてくるのだ・・ということなのかもしれませんが、私の精神力、体力では持ちこたえることが出来ませんでした。
かなり心も体も具合が悪くなりました。
そこから何か見えるかなあ・・見えていないな・・。
私には何かが見えませんでしたが、実際、この小説の世界は現在の若者の多くが共感するような世界なのだということはわかります。
でも、すべて破壊・破滅してからでは、廃墟の中では何も見えてこないんじゃないかと私は思ってしまうのです。
吐きそうで倒れそうになりながら感想を書いてみました。
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