「落語と私/桂米朝」を読みました。
『落語と私/桂米朝著(ポプラ社)』を古本で読みました。
1975年に発行されたものを改訂し、2005年に新装発行されたものです。
内容は、小沢昭一氏が寄せている文に「これ一冊で落語論は十分。親切に平易に述べられている。落語の実演家ならではの指摘、日本伝統芸能についての独自な見解に教えられることが多い。」と書かれていて、読後の私も同感しました。
米朝さんの落語はUSENの落語チャンネルでよく聞きましたが、どんな噺もこの本のように平易でわかりやすく、ちょっと聞いている人が迷いそうな表現や、耳慣れない昔の慣習などがあると、ちょっと簡単に説明してくれたりするし、淀みないし、くすぐるような小さな笑いから、爆笑まで、寄せては返す大波小波のような見事な落語でした。
しかも品がある。
さらにこの本でも書かれていましたが、落語の成り立ちや、今までの形態の変化や、お客さんや社会状況などについても身体に染ませた上での落語は味も深みもあるもので、いつも感服しておりました。
また、米朝さんは今ではまったくどの噺家も取り上げないネタをよく取り上げられていました。
しかも、絶対に面白い見せ場のようなものがない噺で、ご本人曰く「私もどこが面白いのか最初はわかりませんでしたが、やってみるとそこはかとなく可笑しい噺だったりします」と、見事な出来栄えで誰もやらぬネタを復活させていました。でもって米朝さんが語れば、今聞いてもなんだか可笑しいのです。
この本では、上方と東京の落語の違い、またその在り方についても異なる部分が多いとわかりやすく説明されていました。
たぶん小中学生が読んでも落語の歴史的な経緯から、その面白さの醍醐味までわかってくるんじゃないかと思われるこの本、“楽しい教科書”となっておりました。
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