「ドナルド・キーン自伝/角地幸男訳」を読みました。
『ドナルド・キーン自伝/ドナルド・キーン[角地幸男訳](中公文庫)』を古本で見つけ、読みました。
360頁もあるもので、キーンさんの幼少期から晩年まで実に事細かく振り返っていて、9歳の時に父親の仕事について行ってヨーロッパの船旅をしたり(この時のこともかなり細かく記憶されている)、海軍日本語学校へ入ったときのこと、戦死した日本兵の日記に感動したこと、日本人捕虜との交流、大学時代の日本研究、京都に住んでいたときのこと・・どのエピソードも興味深く、面白く、しかも日本文学についてのキーン氏の知識、理解、研究度合の深さなどに驚愕したのでした。
川端康成、大江健三郎、阿部公房、吉田健一、谷崎潤一郎、有吉佐和子などが、どんどん登場してその思い出や大きな出来事なども実に興味深く読みました。
特に三島由紀夫との交流については、ほんとうに死の直前までの様子が細かに書かれていました。
あの事件の直後に三島の机に残されていたキーン氏への手紙は、三島の奥さんがそのままアメリカに帰っているキーン氏に投函され、届いているのですが、キーン氏も書かれているように、本来なら警察が押収するような“事件関連の資料”と言えるようなものだったのかもしれません。
文中に出てくる日本の風景、様子なども実に貴重なものでした。特に京都についての記述が克明で、日本を、京都を愛する氏の心が伝わってきました。
キーン氏の著書については何冊か読み、まだ数冊手に入れていますので、それらを読みましたらまた感想を書こうと思っています。
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