「小説の周辺/藤沢周平」を読みました。
『小説の周辺/藤沢周平著(文春文庫)』を古本で見つけて読みました。
1970年代から1980年代にかけて著者藤沢周平氏が書いたエッセイをまとめたものでした。
単行本として1986年に潮出版社から刊行され、この文庫版は1990年に第一刷発行、私が手にしているこの本は、2006年現在のもので11刷発行されていますからヒットしたエッセイ集と思われます。
郷里のことや、幼年時代の出来事、師や友、日常身辺のことなどが綴られていました。
昭和二年生まれの著者は、その年代の人らしく奥さんに“おんぶにだっこ”の状態で生活していて、取材旅行にもついてきてもらい、電車やバスのつながりなども面倒をみてもらい、食べるものの注文も頼りっ放し、閉所恐怖で地下鉄が怖いと総武線快速の東京駅から千葉方面の電車にも乗りたがらず、すぐに地上に出て“ごきげん”になったり、まるで子供みたいです(^_^;)
それにしてもこのくらいの年代の方々の文章は実に読み易く、平易なうえに詳細・克明に書かれていて、整然としているが一本芯が通っています。
そして文自体が美しい、惚れ惚れするくらいです。
妙な“落ち”が用意されているわけでなく、無理やりな“盛り上げ”もなく、淡々と書かれているのに染みるように入ってくる感覚の文は、近年の人達にはもう見られないものです。
しみじみとして読み終えました。
心静かな読後もいいものです。
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