「命売ります/三島由紀夫」を読みました。
『命売ります/三島由紀夫著(ちくま文庫)』を古本で読みました。
この作品の当時の発表誌が、若者向きの雑誌「プレイボーイ」だったということで、スリラー漫画風でもあり、ハードボイルド色も感じ、乱暴な感じの映画作品のようであったりして三島作品としては異色なものだったのかもしれません。
テキストとしては1974年の三島由紀夫全集十六巻を使用していて、今の人権意識に照らせば不適切な表現があちらこちらに見られました。
文庫としては1998年に第一刷発行され、手にしたものは2015年の第二十三刷でした。
そもそも何の不自由もなく生活していた男が会社を辞めて、新しい商売が「命売ります」と看板を掲げ、新聞に広告を出すのですが、その主人公の命を買いに来る謎の人物達が主人公に輪をかけて奇妙で怪しい人ばかりというお話でした。
もともと人間が自らの命を惜しまず、死んでも別にどうでもいいという感覚を持てるのか、という問題がありますが、死んでも全然OKというのが主人公なのです。
かなり怖い目にあっても微動だにせず、脈拍もむしろ下がる・・なんて考えられない人物が主人公でした。
次々と命を買いにくる人達は明らかに怪しい組織の構成員という感じで、読んでいるこちらはドキドキ・ハラハラするのに、主人公はいたって平気という・・・信じられないもので、先は読みたいけど、変な登場人物ばかりが奇異な行動をするので、なんだかちょっとこちらの具合が悪くなりそうでした。
ハードボイルド色が強いと冒頭で書きましたが、プレイボーイに掲載されていただけあって、少しエロティックな場面もありました。なので、命を買った人の中の女性達も妙に色香漂う人ばかりで、そういう面でもストーリーに幅がありました。
そして三島作品であるからには、やはり人物描写というか、人間の“業”のようなものがうまく描かれていると感じました。
奇想天外なストーリーでありながら、細かい考察が必要なくらいのお膳立てなどもうまく作用し、最後までまったく飽きずに読みました。
三島由紀夫のまたあらたな別の面を垣間見るような作品でした。
« 俳句を詠んでみる_0880【 ピーマンの 種取り出して 青い空 】 | トップページ | 俳句を詠んでみる_0881【 鶺鴒(せきれい)が すぐ傍に来て 心解く 】 »
「書籍・雑誌その2」カテゴリの記事
- 「考えないヒント アイデアはこうして生まれる/小山薫堂」を読みました。(2026.10.11)
- 「自註現代俳句シリーズ・11期42 村上喜代子集(社団法人俳人協会)」を読みました。(2026.10.08)
- 「作家の贅沢すぎる時間/伊集院静」を読みました。(2026.10.06)
- 「よそ見津々/柴崎友香」を読みました。(2026.10.03)
- 「やわらかく、考える。/外山滋比古」を読みました。(2026.09.29)
« 俳句を詠んでみる_0880【 ピーマンの 種取り出して 青い空 】 | トップページ | 俳句を詠んでみる_0881【 鶺鴒(せきれい)が すぐ傍に来て 心解く 】 »



コメント