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2025/06/29

映画「カーテンコールの灯(あかり) Ghost light」を見てきました。

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映画『カーテンコールの灯(Ghost light)/2024年 アメリカ 監督:ケリー・オサリヴァン、アレックス・トンプソン 脚本:ケリー・オサリヴァン 出演:キース・カプフェラー、キャサリン・マレン・カプフェラー、タラ・マレン、ドリー・デ・レオン』を見てきました。

割と小さな独立系の作品でありながら、なかなかの力作というか内容は濃く、家族や仲間との滲み出るような深く情愛あふれる映画でした。

それぞれに心に傷を負った家族三人の物語なのですが、夫・妻・娘の配役は三人とも実の家族という・・驚きの“そのまんま”キャストです。

この三人家族にはさらに長男がいたのですが、不幸な亡くなり方をしていて、その亡くなり方がシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のロミオ的な亡くなり方をしていて、この事件が家族に重い影を落としています。

建設工事現場の作業員をしている主人公はもう年配なのですが、精神的にもつらい状況で、仕事も追われるような状態になりつつあり、悩みの淵に居るときに半ば強引に地域のアマチュア劇団に参加することになってしまい、そこからこの映画のストーリーは急展開を見せます。

 

 

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家族の状態が悪くなりつつある中で、素人ながら次第に劇団での活動に生きる意味を少しずつ見出していく主人公。

そこで演じる演目はなんと「ロミオとジュリエット」で、脇役から入っていったのに、突然の配役変更でロミオ役に。
超年配のロミオとジュリエットとなるのですが、最後の勘違いの死のシーンには現実と重ね合わせてしまうことになり、精神的に耐えられず、いったいどうなっていくのだろう・・と見ているこちらは気をもみます。

家族に劇団活動をしていることがバレてからの家族関係も繊細で見応えがあり、娘との関係回復なるか、と手に汗握ります。

そして、エンディングの「ロミオとジュリエット」本公演。
どうしても出来なかった「死のシーン」を主人公は演じられるのか、もう自分も家族になったような気持ちで見守りました。

そして劇団員の仲間達との関係も心動かされました。

もう涙なしには見られないエンディング。いい映画でした。
私が求めている映画、物語はこういうものだとあらためて感じました。

ストーリーと共にロミオとジュリエットが進行していく見事な展開、ぜひ映画館で見てほしい作品だと思いました。

 

2025/06/22

映画「突然、君がいなくなって」を見ました。

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映画『突然、君がいなくなって(原題:Ljosbrot/英題:When The Light Breaks)/2024年 アイスランド=オランダ=クロアチア=フランス 監督・脚本:ルーナ・ルーナソン 出演:エリーン・ハットル、ミカエル・コーバー、カトラ・ニャルスドッティル、バルドゥル・エイナルソンアゥグスト・ウィグム、グンナル・フラプン・クリスチャンソン』を見て来ました。
アイスランド中心の映画なんて今まで見たことがあったかなぁ・・と思いつつ、色彩の使い方や、クリアでない画像から受ける不思議な印象、カメラのアングルも独特です。

主人公は美大生の女性ですが、恋人との関係は秘密になっている。
それは彼に遠距離恋愛をしている長年の恋人がいて、今まさにその遠距離恋愛の恋人に彼が別れを告げに行く前夜だ。

そして、クルマに乗り別れを告げに出かけるが、途中の事故で帰らぬ人となってしまいます。

 

 

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誰もが彼女と認める遠距離恋愛の彼女がやって来て涙を流し、悲しむが、でも主人公の女性は、まだ誰にも現在の彼女だとは言っていない・・。

突然に最愛の人を失い、その悲しみを誰にも打ち明けられない。

そして遠距離恋愛をしていた彼女と主人公の女性は、狂おしいほどの緊張感の中、徐々に近づき距離感を詰めていきます。

それだけのストーリーなのですが、でも心模様の中身は濃く、美しい背景などの映像も伴なって魅力的な映画になっていました。

巨額の予算で一大エンターテインメントの大作にしたような映画よりも、ずっと見甲斐のある、心に残る映画でした。

 

2025/06/18

「まわれ映写機/椎名誠」を読みました。

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『まわれ映写機/椎名誠著(幻冬舎)』を古本で見つけ、読んでみました。
2000年~2002年にかけ、「星星峡」に連載された作品をまとめ、2003年に刊行されたものです。
実体験をベースにした小説、と、ご本人が書かれていますが、まさに体験中に感じたことがドキドキするような感じで書かれていました。

映像、特にフィルム・映画に幼い頃から興味を持った椎名さんが実際に大人になって自ら監督となり、映画を製作するまでのことが書かれていました。

驚くのは、300頁もあるその半分の部分が、子供の頃の幻灯機との出会いと、それを自ら工作して作り、なんらかのフィルム状のものに絵や文字を入れて、ひとりで見て興奮するだけでなく、友達にも見せ、やがては8ミリ撮影機を持つ友達と出会いどんどん映画というものに興味を持ち、近づいていくところを描いているのです。

ふつうは、こういう部分は手短に思い出として語り、さっさとこの本の後半部分、初めて四万十川にいつもの焚火キャンプ仲間を中心に集め、素人集団と言えるような状態で「ガクの冒険」という、あの有名な“カヌーイスト”野田知佑氏と、“カヌー犬”のガクの物語を映画として撮るというメインに突入するところですが、そうではなく、子供の頃の「撮影と映写」への憧れからやってみたことを事細かに書かれているのでした。

私も似たようなワクワク感を子供の時に感じたことが有り、雑誌付録の紙の幻灯機を作り、壁に映しているだけでは飽き足らず、夏休みの宿題として木工でそのレンズを利用して自作幻灯機を作ったことがあるのです。

さらに巻き取り式に透き通ったセロファンのようなものを細長く切ってフィルムを模したものを作り“映写機”みたいにして一人興奮した記憶があります。

椎名さんも書かれていましたが、昔は8ミリカメラを使うアマチュアのための「小型映画」という雑誌があり、熟読されていたようで、私も8ミリカメラなど持ってもいないのに、その雑誌を買って、読んでみたことがありました。
なんかワクワクする気分はきっと椎名さんと一緒だったのだと思います。

そんなことを椎名さんは、150頁以上使って書かれていたのですが、全然“ダレる”こともなく、ただただドキドキする気持ちで読むことができました。
なので、後半の映画製作の部分がより光り輝いて読むことが出来たのだと思います。

10年間の期間限定で、映画製作会社「ホネフィルム」を作った椎名さんは、「ガクの冒険」のあとも果敢に作品を作られていました。
まさに夢を実現した感じです。
最後までキュンキュンしながら読みました。
実録小説、とてもいい作品でした。

 

2025/06/15

映画「おばあちゃんと僕の約束」を見て来ました。

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映画『おばあちゃんと僕の約束(Lahn Mah)/2024年 タイ 監督・脚本:パット・ブーンニティパット 脚本:トッサポン・ティップティンナコーン 出演:プッティポン・アッサラッタナクン、ウサー・セームカム、サンヤー・クナーコン、サリンラット・トーマス、ポンサトーン・ジョンウィラート、トンタワン・タンティウエーチャクン』を見てまいりました。

この映画の存在自体を知らなかったのですが、千葉劇場という一般的な上映館では公開されない作品を取り上げる映画館のネット上の広告を見て興味を持ち、実際に見てみたいと思ったのです。

「歴代タイ映画世界興行収入No.1」でもって、第97回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト選出」と謳われていました。

また、タイの大人気スター、ビルキン映画初主演作だとも書かれていました。

 

 

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ネットで調べてみると、「涙なしには見られない」というようなことが書かれていて、実際に映画館でエンドロールが流れているときに泣いている老人も何人かいました。
でも、私には泣くような話には受け取れない作品でした。
ラストの展開が表面上は泣けるのかもしれませんが、どうにもそういう受け取り方はできない・・という感想です。

見始めてすぐに、タイの映画っていうふうには、ほとんど感じませんでした。
今の日本もほぼ同じ。おばあちゃんがいて、その子供は相続のことは考えるけど、あまりおばあちゃんの面倒は見ないし、老いていくおばあちゃんの生活のこともあまり考えていない。

でも、おばあちゃんの頭の中にはかつての家族の様子や、タイという国での家族のあり方の典型的な様子がイメージされている。
おばあちゃんの子供世代と孫世代には、それぞれの考え方、ライフスタイルの大きなギャップがある。

亡くなった後の、おばあちゃんの家、土地など価値の“皮算用”、打算が背景にあるストーリーでしたが、孫の男性が打算的におばあちゃんの面倒をみるようになって、そこに自然と浮き上がってくる「愛情」のようなものが最大のテーマだと思いました。

状況的には異なるかもしれませんが、日本の家族・一族にも存在する問題がそこにあり、まざまざと見せられた・・という感じでした。だから泣いているような暇は無かった・・。

今の私達にとって「見る価値・考える価値」のある映画だと思いました。

 

2025/04/05

映画「アンジーのBARで逢いましょう」を見て来ました。

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映画『アンジーのBARで逢いましょう/2025年 日本 監督:松本動 脚本:天願大介 出演:草笛光子、松田陽子、寺尾聰、石田ひかり、六平直政他』を見て来ました。

草笛光子さんの最新主演作です。松田陽子さんも主演と言っていいようなつくりの作品となっていました。

草笛さん扮するアンジーという名の不思議なお婆さんが町にやって来て、不吉な事故物件のような建物を借り、バーを始めようとする話でした。

 

 

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草笛さん扮するアンジーに皆なぜか、人柄に惹かれるのか、手伝いをしたり、共感したり、素直な心を持ったりしながら、やがてBARが出来上がりますが、自らを“お尋ね者”と言い放つ豪快なアンジー婆ちゃんとその周囲のドタバタ、人間ドラマ、そしてラスト近辺の急展開が無理なく、一時間半の中に収められていて、とても良い作品だと思いました。
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たぶん想像するに、もっと色々なシーンを撮っていたのではないかと思いますが、説明がやや足りないくらいのギリギリのところまで“剥ぎ取って”作品は成立していました。

それがこの作品のテンポの良さを生み、ストーリー展開のドキドキ感を出し、登場人物それぞれの個性を際立たせていたのだと思いました。

もう一度見たいと思うくらいの素敵な映画でした。

チケットを購入したら、窓口で「鑑賞記念ステッカー(※写真2枚目)」をいただいてしまいました。
これもうれしかった(*^^*)

 

2025/02/14

映画「ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻」を見て来ました。

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映画『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻(FIREBRAND)/2023年 イギリス 監督:カリン・アイヌーズ 出演:アリシア・ヴィキャンデル、ジュード・ロウ』を見て来ました。

16世紀の英国、ヘンリー8世の5人の前妻は追放、処刑、出産死亡・・そこに最後の妻として望まぬ結婚をしたキャサリン・パー。

そもそもヘンリーはイングランド国教会を設立していて、それに反するプロテスタントの信念に基づき血塗られた国を光ある未来に導きたいとする妻キャサリン。

そしてキャサリンは、国王と対立する立場であることを告発されてしまい・・政治的陰謀が絡み合う宮廷で異端者としての証拠探しに巻き込まれます。

 

 

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映画は、そんな状況下でキャサリンが前妻たちのように国王に首をはねられるのか、あるいは病に蝕まれた国王が先に死ぬのか、王と妻の“戦い”と“駆け引き”が繰り広げられていました。

王の怖ろしさと、醜さ、妻のどこまでもしらを切り、戦い抜く姿、息もつかせない展開でしたが、見ているこちらが具合が悪くなるような展開と、映像の“エグさ”・・。

英国史上最もスキャンダラスで悪名高い暴君、ヘンリー8世も、生き残りを賭けて戦う妻キャサリンも名演というか、二人の“怪演”に驚きました。

最後の最後までハラハラし、厭ぁな気分のこの映画、さすがイギリス映画だと思わせました。
一緒に見た妻と共に、ぐったりして映画館を出ました。

 

2025/02/09

映画「ブルースの魂(THE BLUES UNDER THE SKIN)」を見ました。

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映画『ブルースの魂(THE BLUES UNDER THE SKIN:Le Blues entre les dents)/1973年(※2022デジタル修復版) フランス 監督:ロバート・マンスーリス 出演:BBキング、バディ・ガイ他』を見ました。

元々は1973年の映画で、今回上映されているのはそれをデジタル修復したものでした。
ドラマとドキュメンタリーが融合しているもので、ドラマはちょっと稚拙な感じの演技もありましたが、それでも実にブルースで歌われている社会的、人間的な世界はこういうものだというものがうまく表現されていました。

また、黒人の奴隷制度から始まり、その後の貧困、ドラッグ、ギャンブル、女、犯罪につながる様子もドキュメンタリー的にまとめられていて、そういうこととブルースという音楽がどういう関係性を持っているのか、というところもうまく描かれていました。

そして、何と言っても、BBキングをはじめとする演奏シーンが素晴らしかった。

実際のブルース全盛期には、私はまだ生まれておらず、その後にジャズやロックに影響を与え、Rストーンズやビートルズなど私の大好きなグループが影響を受けていることからずっと興味を持ってきた音楽がブルースです。

演奏シーンのギターの弾き方を見ていると、ガシガシと弦を押さえ、フレットにバチバチ当たる感じでの運指が実にワイルドでカッコいい!

ボーカルのフレーズを追いかけていくようなギターもたまらなく良くて、演奏に合わせて身体が動いてしまいました。

ブルースってどんな音楽だ。どんな境遇のどんな人が始めたのか。
独特の哀しさを湛えるメロディー、コード、スケール、色々なものを目の当たりにできる映画でした。

それに、1970年代のフィルム独特の映像の色も時代を感じさせてくれてとても良かった。

 

2025/02/05

映画「ミスター・ジミー(Mr.Jimmy)」を見て、聞いて来ました。

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映画『ミスター・ジミー(Mr.Jimmy)/2023年 アメリカ・日本 製作・監督・編集:ピーター・マイケル・ダウド 出演:ジミー・桜井他』を見て、そして聞いて来ました。

私、存じ上げませんでしたが、主役のジミー・桜井氏は実在の人物で、サラリーマンの傍ら30年に渡り、あのロック・バンド「レッド・ツェッペリン」のジミー・ペイジ(※よく三大ロックギタリストと言われる人達のひとり)をギタープレイ、アクション、衣装、機材他全てを完璧に再現しているの人なのです。

それも度を超すというか、なんというか、例えば197〇年〇月〇日のどこそこの会場でのコンサートのジミー・ペイジのプレイ、というふうに、私も当時、海賊盤が山と出ていたツェッペリンのライブ音源があることを知っていますが、その時々のペイジのプレイを再現しているのです。
それはボーカルやベース、キーボード、ドラムも含め全てジミー・桜井の記憶にセットされている・・恐るべし。

映画の中では、ジミー・桜井がプレイするライブハウスに噂を聞き、来日していた本物のジミー・ペイジが訪れ、握手するというシーンがありました。
そして、全楽曲の使用許諾も得るのです。

 

 

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その後アメリカでツェッペリンのコピーバンドに参加し、ライブを何百本もこなすのですが、桜井氏の目指す完全再現は、楽しく“ノリ”で過ごす観客のニーズとは異なり、バンドのメンバーとも方向性が異なることで別れてしまいます。

この悩みが映画の最大のテーマだと思います。
完全再現が果たしてビジネスに繋がるのか・・日本ではまだしも、アメリカやその他ヨーロッパなどでは無理があるのです。
ギターソロ30分以上なんて、ワアワア騒ぎに来ている年配の観客には付き合えないし、細かく何月何日のプレイはああだった、なんて人も外国にはほぼいないのです。

最後はツェッペリンのドラマーだったジョン・ボーナム(故人)の息子がドラムを叩いているバンドから声が掛かり、そのツアーに参加し、ジミー・桜井氏自身のバンドでも再現活動を続けて行くところまで描かれていました。

逆に私にはジミー・ペイジの、そしてツェッペリンの音楽の聞き方が初めて実感してわかったという感覚がありました。

つまり、今まで私は、アルバムを中心に聞き、ライブでのプレイはソロやインプロビゼーションが回りくどく聞こえ、煩わしかったのですが、いやいやそれは逆でライブでのその時々のジミー・ペイジのプレイ、ツェッペリンというペイジが描く音楽世界に漂うように、身を任せるように聞いていくと、広大で深淵なギタリストというよりもプロデューサー的なジミー・ペイジの音楽ワールドが広がっていくのでした。

いやあ、何で今まで毛嫌いしてきたんだろうと思いましたよ。
あわててツェッペリンのライブを聞き直しているところです。なんだ、いいじゃねぇか!!(^_^;)

というわけで、映画としても見ごたえがあり、私個人にとってもツェッペリンを見直す機会になりました。
力作でした。

 

2025/02/01

映画「映画を愛する君へ」を見て来ました。

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映画『映画を愛する君へ(Spectateurs!)/2024年 フランス 監督・脚本:アルノー・デプレシャン(『あの頃エッフェル塔の下で』) 脚本:ファニー・ブルディーノ 出演:ルイ・バーマン、クレマン・エルヴュー=レジェ、ミロ・マシャド・グラネール(『落下の解剖学』)、サム・シェムール、ミシャ・レスコー、ショシャナ・フェルマン、ケント・ジョーンズ、サリフ・シセ、マチュー・アマルリック(『フレンチ・ディスパッチ』)』を見て来ました。

映画と映画館に憧れ、映画というものから様々な刺激、影響を受けてきたデプレシャン監督が自分の映画で語ったシネマ・エッセイのような作品でした。

 

 

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近年は映画というものが、スマートフォンの中に入ってしまい、映画館に行くことの意味を感じない人もいるかもしれませんが、それでも映画館で見る映画と手の中にある、あるいは自室のモニターで見ている映画ではやはり異なるものがある・・と、この作品の監督も私も感じていることは事実です。

映画の途中で、過去の名作のカメラワークについて語るシーンなどもありましたが、携帯電話の小さな画面はまったくそれを感じることも出来ないし、自分以外に観客のいる映画館内の客席で感じるものはこれもまた全く違うものがあります。

その感覚は映画館で見ることを中心にしている人だけが感じることのできるものです。

 

 

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芝居、ミュージカル、ショーなども似たようなことが言えるかもしれません。
テレビ中継があるから、ビデオがあるからと舞台に足を運ばないことで、現場で感じる大きなものを損失しているという感覚に似たものがあります。

全編が映画の歴史や、映画から受ける魔法のようなものについて語られ、あらためて映画を見ることの楽しさ、映画館に通うことで得られる大きな感動や作品からの息吹、そんな大切なことが映像化された作品でした。

映画好きな人には教科書みたいに、まだ映画館ではあまり見ていないひとには足を運ぶきっかけとなるような映画でした。

 

2025/01/28

映画「アーサーズ・ウイスキー(Arthur's Whisky)」を見ました。

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映画『アーサーズ・ウイスキー(Arthur's Whisky)/2024年 イギリス 監督・製作:スティーヴン・クックソン 脚本:ジュリア・スチュアート、アレクシス・セガーマン、スティーヴン・クックソン 出演:ダイアン・キートン、パトリシア・ホッジ、ルル、ボーイ・ジョージ』という映画を昨日、見ました。

発明家の夫を亡くした女性とその友人二人が物語の主人公でした。
夫は物置小屋で発明家として何やらやっていて、突然の死となってしまい、パトリシア・ホッジ演ずるその妻と友人二人で小屋の後片付けをしていて発見したウイスキー。

それが若返りの薬として発明され、完成したところで発明家の夫は雷に打たれて亡くなってしまったのでした。

故人の供養だとばかりそのウイスキーを三人の七十代の女性達が飲むと・・身体が突然20代に若返ってしまう・・そして有頂天になった三人が繰り広げる“ハチャメチャ”が前半でした。

思った通りの“ドタバタ・コメディー”だと思ってみていたら、後半は実に深い内容になって行きました。

 

 

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三人の女性はそれぞれに、過去に残してきた心残りなことや、解決せずにそのままになっていること、不運な恋など、ずっと心の重荷になっていたことがあり、この若返りの薬を飲んだことで様々な思いが湧いてきて、三人それぞれのやり方で“ケリをつけ”ようとします。

ハイライトは三人が人生最後のラスベガスへ思い切って旅行に出た先で、あのボーイ・ジョージ(本物!!)のステージに呼ばれて上がってしまうところでした。

この辺りから涙が出始め、それぞれの過去への精算のようなものが描かれるシーンが続き、これは老いを迎えた人、老いて過去の様々な気がかりなことを気に病む人、これからどうしようという人などには「自分のことだ」と胸にジーンと沁みてくるような内容で、私も涙が止まらなくなりました。

そして命のこと、ジェンダーのこと、人生そのものの歩み方、恋、など、人が生きて行くとき、老いるときの何かヒントのようなものがじわじわと浮かび上がってきました。

最初は単なるドタバタ・コメディー映画だろうと思い、気楽に見始めたのですが、いやいや、深い、いい映画でした。
ほんとうに見てよかった。

 

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