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2025/03/09

「心を癒す音楽/北山修 編・著」を読みました。

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『心を癒す音楽/北山修 編・著(講談社)』を古本で見つけ、読みました。

2005年発行の本で、「九州大学人間環境学研究院北山研究室」で行われたミュージック・デザイン・プロジェクトが、《こころの専門家》たちに、これまでの人生で癒された曲を選んでもらい、ヒーリング・ミュージックの傾向を探ったものです。

この本では北山修さんが編集し、35人の方がそれぞれの曲にまつわる思い出を書いてもらう形になっています。
そんな中で、音楽がこころに与える影響を解き明かそうとしています。

曲のジャンルは多岐に渡り、ジャズ、ロック、ポップス、クラッシック、歌謡曲、フォーク・ソングなどなどでした。

読んでみると、それぞれの方が特に若い多感な時期に聞いた音楽が多かったようです。

私が気になったのは、ビートルズの「ヘイ・ジュード」との関りを挙げた須賀節代(外苑神経科臨床心理士)さんの文でした。

ヘイ・ジュードは、ジョン・レノンとシンシアの離婚に不安を感じていた息子のジュリアンを励まそうとしてポール・マッカートニーが書いたものですが、私にとっても後に歌詞を知る前から、なぜか励まされる感覚のある曲でした。

須賀さんは、さらに深く考え、人は胎内にあっては母子一体だけど、出産と同時にその居心地のよかった場所から追い出される。
そこで人は初めて「傷つき」を体験するのだとおっしゃっています。

その傷つきを埋めようとして、あるいは胎内で得られていた母子一体感を得ようとして、様々な行動をするのだというのです。

それは恋愛行動であったり、飲酒だったり、喫煙、音楽に酔いしれる、映画や演劇の世界で遊んだりすることなどだ・・とおっしゃっていて、私はかなり納得いたしました。

文化活動や芸術、問題行動などをして、いつかは現実に引き戻される。
そこに「切なさ」を感じる。・・・とてもよくわかる ^_^;

現実を感じながらも一時的な幻想世界に酔うことで、人はエネルギーを得て行く。
それは「遊び」の世界。

逆に現実世界を否定し、幻想の世界に生き続けようとするとき、依存症や摂食障害といった問題行動を呈することになる、という理論はよく理解できました。

ヘイ・ジュードには、「一体感」と「切なさ」とを同時に感じながら、この歌にまつわるような「優しさ」に包まれることで癒されて、現実に向かう力がでる、そんなことが内包されているというわけです。

なんだか、私がこの曲に感じていて、言葉に出来なかったことをすべてまとめて教えてもらったような気がします。

こんな話題をそれぞれの心の専門家が語るこの本、とても内容の深い、良い本でした。

 

2025/02/09

映画「ブルースの魂(THE BLUES UNDER THE SKIN)」を見ました。

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映画『ブルースの魂(THE BLUES UNDER THE SKIN:Le Blues entre les dents)/1973年(※2022デジタル修復版) フランス 監督:ロバート・マンスーリス 出演:BBキング、バディ・ガイ他』を見ました。

元々は1973年の映画で、今回上映されているのはそれをデジタル修復したものでした。
ドラマとドキュメンタリーが融合しているもので、ドラマはちょっと稚拙な感じの演技もありましたが、それでも実にブルースで歌われている社会的、人間的な世界はこういうものだというものがうまく表現されていました。

また、黒人の奴隷制度から始まり、その後の貧困、ドラッグ、ギャンブル、女、犯罪につながる様子もドキュメンタリー的にまとめられていて、そういうこととブルースという音楽がどういう関係性を持っているのか、というところもうまく描かれていました。

そして、何と言っても、BBキングをはじめとする演奏シーンが素晴らしかった。

実際のブルース全盛期には、私はまだ生まれておらず、その後にジャズやロックに影響を与え、Rストーンズやビートルズなど私の大好きなグループが影響を受けていることからずっと興味を持ってきた音楽がブルースです。

演奏シーンのギターの弾き方を見ていると、ガシガシと弦を押さえ、フレットにバチバチ当たる感じでの運指が実にワイルドでカッコいい!

ボーカルのフレーズを追いかけていくようなギターもたまらなく良くて、演奏に合わせて身体が動いてしまいました。

ブルースってどんな音楽だ。どんな境遇のどんな人が始めたのか。
独特の哀しさを湛えるメロディー、コード、スケール、色々なものを目の当たりにできる映画でした。

それに、1970年代のフィルム独特の映像の色も時代を感じさせてくれてとても良かった。

 

2025/02/05

映画「ミスター・ジミー(Mr.Jimmy)」を見て、聞いて来ました。

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映画『ミスター・ジミー(Mr.Jimmy)/2023年 アメリカ・日本 製作・監督・編集:ピーター・マイケル・ダウド 出演:ジミー・桜井他』を見て、そして聞いて来ました。

私、存じ上げませんでしたが、主役のジミー・桜井氏は実在の人物で、サラリーマンの傍ら30年に渡り、あのロック・バンド「レッド・ツェッペリン」のジミー・ペイジ(※よく三大ロックギタリストと言われる人達のひとり)をギタープレイ、アクション、衣装、機材他全てを完璧に再現しているの人なのです。

それも度を超すというか、なんというか、例えば197〇年〇月〇日のどこそこの会場でのコンサートのジミー・ペイジのプレイ、というふうに、私も当時、海賊盤が山と出ていたツェッペリンのライブ音源があることを知っていますが、その時々のペイジのプレイを再現しているのです。
それはボーカルやベース、キーボード、ドラムも含め全てジミー・桜井の記憶にセットされている・・恐るべし。

映画の中では、ジミー・桜井がプレイするライブハウスに噂を聞き、来日していた本物のジミー・ペイジが訪れ、握手するというシーンがありました。
そして、全楽曲の使用許諾も得るのです。

 

 

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その後アメリカでツェッペリンのコピーバンドに参加し、ライブを何百本もこなすのですが、桜井氏の目指す完全再現は、楽しく“ノリ”で過ごす観客のニーズとは異なり、バンドのメンバーとも方向性が異なることで別れてしまいます。

この悩みが映画の最大のテーマだと思います。
完全再現が果たしてビジネスに繋がるのか・・日本ではまだしも、アメリカやその他ヨーロッパなどでは無理があるのです。
ギターソロ30分以上なんて、ワアワア騒ぎに来ている年配の観客には付き合えないし、細かく何月何日のプレイはああだった、なんて人も外国にはほぼいないのです。

最後はツェッペリンのドラマーだったジョン・ボーナム(故人)の息子がドラムを叩いているバンドから声が掛かり、そのツアーに参加し、ジミー・桜井氏自身のバンドでも再現活動を続けて行くところまで描かれていました。

逆に私にはジミー・ペイジの、そしてツェッペリンの音楽の聞き方が初めて実感してわかったという感覚がありました。

つまり、今まで私は、アルバムを中心に聞き、ライブでのプレイはソロやインプロビゼーションが回りくどく聞こえ、煩わしかったのですが、いやいやそれは逆でライブでのその時々のジミー・ペイジのプレイ、ツェッペリンというペイジが描く音楽世界に漂うように、身を任せるように聞いていくと、広大で深淵なギタリストというよりもプロデューサー的なジミー・ペイジの音楽ワールドが広がっていくのでした。

いやあ、何で今まで毛嫌いしてきたんだろうと思いましたよ。
あわててツェッペリンのライブを聞き直しているところです。なんだ、いいじゃねぇか!!(^_^;)

というわけで、映画としても見ごたえがあり、私個人にとってもツェッペリンを見直す機会になりました。
力作でした。

 

2024/10/31

俳句を詠んでみる_0267【 枯野に佇む ギターの音 聞こゆ 】

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すっかり涼しくなったここ数日。
夏の青々とした草原は、一気に枯野となった。そこに佇んでいたら・・という句。

【 枯野に佇む ギターの音 聞こゆ 】

《背景》季語:枯野[冬]
真夏の暑さと繁茂する草が、秋を待たず冬のように一変して枯野に。
その場にこの夏を思い起こして佇んでいると、どこかの家からギターの音が聞こえてきた。
ラジオから流れる曲らしく、「サークル・ゲーム」のギターだった。

 

 

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2024/06/06

映画「トノバン 音楽家加藤和彦とその時代」を見ました。

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映画『トノバン 音楽家加藤和彦とその時代/2024年 日本 企画・構成・監督・プロデュース:相原裕美 出演:きたやまおさむ、高中正義、泉谷しげる、坂崎幸之助、クリス・トーマス、松山猛、朝妻一郎、新田和長、つのだひろ、小原礼、今井裕他多数』

亡くなられた加藤和彦さんの音楽と生き方を様々な人の証言などから振り返り、その当時のフィルム、ビデオなども映像として出てくる形で二時間に渡るものでした。

私は、ザ・フォーク・クルセダーズの頃から知っている(小学生だったけど)し、サディスティック・ミカ・バンドの時には自分もドラムという楽器と出会い、ロックにも夢中になっていた頃なので、その時の衝撃は今でもはっきりと覚えています。

そして、安井かずみさんと結婚してからは、夫婦でよくラジオなどにも出てきてお話しされていたのを記憶しています。
その頃は英国風カレーのスパイスの調合の仕方などを“とくとく”と語っていたり、ムーグ(今はモーグと発音しているかも)シンセサイザーを手に入れ、ビートルズのアビーロードに入っている音が出たときの感動などを語っていたのも覚えています。

音楽も、身に着けるものも、食べる物も、その他振舞い、身のこなし、あらゆる分野で探求することをとことんやっている人、という印象でした。
安井さんとの夫婦の様子は“人もうらやむ”ものだったという人もいるし(この映画中では、コシノジュンコさんがそういう発言をしている)、加藤さんが無理をしていたという人もいます。
それについては、私がこのブログに9年前に書いていますので、よろしければご参考にリンクを張っておきます。https://techo.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-1c83.html

 

 

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映画の中で数々の加藤さんの作品が紹介され、流されますが、誰にも書けない素晴らしい名作ばかり。
それなのに、なぜあんなことになったのか・・。

映画の中でも様々な人が語られていますが、私のひとつの考えとしては、加藤さんが探求に探求を重ね、次々と新たなテーマを見つけ、練りに練ったアルバム、楽曲を作ってきた人生がそれこそ年齢を重ね、熟成されていくような時期に実際に日本でヒットしている曲を聞いて、“こんなものが”という気持ちがあったのではないか、と思うのです。
やりきれなくなった。

それともうひとつ、次々とあらたなライフスタイルや、それに伴う音楽との取り組みを続けてきた加藤さん、ほんとうの加藤さんってどういう人なのかがよくわからないのです。
似たようなことを、きたやまおさむさんが映画の中でおっしゃっていましたが、ほんとうの自分が空白となり、そして・・あんなことになったのかもしれない・・。
それほど加藤さんという人は、常人には考えも及ばないような人だったんじゃないか、ということを考えました。

単純に音楽的に楽しむのも良いですが、ひとりのミュージシャン、コンポーザー、プロデューサーとしての人生を垣間見るのもいいかもしれない、力作と言える映画だと思いました。

 

2024/04/27

俳句を詠んでみる_0078【 長夜(ちょうや) 返らぬレコードの音 聞こゆ 】

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学生時代の“貸したままのレコード盤”について詠んでみた。

【 長夜(ちょうや) 返らぬレコードの音 聞こゆ 】

《背景》季語:長夜[秋]
たいていは貸したレコード、本の類は返ってこない。
秋の夜長にそんなレコードのことを思い出す。
「あのアルバム、一曲目はあれだったな」などと心の中で楽曲が再生されていることに気づく。

 

2024/04/23

俳句を詠んでみる_0071【 木の撥(ばち)で シンバル叩く音 冷たし 】

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また楽器のことで一句、高校生の頃を思い出して詠みました。

【 木の撥(ばち)で シンバル叩く音 冷たし 】

《背景》季語:冷たし[冬]
高校の頃からバンドを作り、楽器はドラムだった。
冬の寒い部屋での練習、木製スティックのチップ(先の丸くなっている部分)が金属製のシンバルに当たる音は、木と金属のぶつかるカツーン・カツーンという、叩いている者だけが聞くことの出来る冷たい音だった。

 

2024/04/22

俳句を詠んでみる_0069【 音ハズれ 色なき風に 乗るギター 】

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昨年、年寄りの手習いで買ったギター、その練習風景で一句。

【 音ハズれ 色なき風に 乗るギター 】

《背景》季語:色なき風[秋]
昨年、秋口に買ったギター。
少しずつコードを覚え、鳴らしてみるが、音はハズれている。
色のない様な透明感ある秋風に色が付くようにギターの音が乗ってゆく。

 

2024/04/21

俳句を詠んでみる_0067【 秋深し オープンリールで 耳コピー 】

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日々書いている俳句のストック分を毎日二作アップして解放しています。
本日二作目は学生の頃やっていたバンドで楽曲をコピーする様子です。

【 秋深し オープンリールで 耳コピー 】

《背景》季語:秋深し[秋]
私が高校生の頃、秋も深まると学園祭が迫ってきて、バンド演奏で出演するための練習が佳境となる。
メンバーが皆、それぞれに自宅で自分の楽器のパートをオープンリールのテープレコーダーで何度も何度も繰り返し聴き“耳”でコピーするのが当り前の時代だった。
それで教室での練習に集まれば、けっこう“イケてる”演奏が出来るのだった。

 

2023/10/07

フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)に再会した

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1970年代後半に全米で大ヒットを飛ばしたフリートウッドマックをご存知でしょうか。
あの頃の私は(今でもそうかもしれないけど)、いつもミュージックシーンの近況に疎いのですが、弟におしえてもらいフリートウッドマックというバンドの存在を知りました。

「噂」というアルバムが当時1,700万枚売り上げる大ヒットを飛ばしていました。
弟が買って来たアルバムを聞き、一気に大好きになりました。だいたいいつも弟におしえてもらって好きになっていた・・・(^-^;

 

 

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その後、日本盤では「ファンタスティック・マック」と呼ばれていたアルバムも買い、二枚組のアルバム「タスク」を買い、ライブアルバムを買い、「ミラージュ」という全米一位のニュー・アルバムも買い、さらにメンバーのソロアルバム、リンジー・バッキンガム、スティーヴィー・ニックス、ミック・フリートウッド、大ヒットする前のメンバー、ボブ・ウェルチのアルバムも買い、夢中になっていました。
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家でも聞いていたし、高校生の彼女を乗せて得意げにカーオーディオでも聞いていた(兄のクルマだった)。
大ヒットする前のフリートウッドマックはブルース・バンドとして有名だったのですが、メンバーの変遷を繰り返し、大ヒットした黄金メンバーになったことは後で知ったのでした。
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その後就職すると、もう音楽どころではなく、つらい仕事に追われ、ロックもポップスもあまり聞かなくなりました。さらに体調をくずし、就職したばかりなのに入院、手術なども経験し、すっかりロックシーンから遠いところに行ってしまった自分がいました。

フリートウッドマックからもいつの間にか離れてしまい、その後どうなったのかも知りませんでした。

最近、ブックオフでファンタスティック・マックのCDを見かけ、思わず買ってしまいました。
今聞いてみてもとても良いと思い、YouTubeで検索してみると、全盛期後にメンバーは“バラバラ”になって、何度もメンバーがクルクルと変わり、二十年後に黄金期のメンバーが揃い、コンサートをしているのを発見しました。

そのコンサートのあまりの素晴らしさに身体中が痺れ、興奮しました。
主要ボーカル三人(クリスティン・マクヴィー、スティーヴィー・ニックス、リンジー・バッキンガム)の歌も磨きが掛かり、演奏も極上のものでした。
夢中になって聞き、映像も見て、特に「Everywhere」というクリスティン・マクヴィーが歌う曲が大好きになりました。

あわててAmazonでその曲が入ったアルバムと、このライブ・アルバム、さらにライブのDVDも入手し、夢中で見聞きしました。

 

 

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そして・・クリスティン・マクヴィーが去年の11月に亡くなっていたことを知りました。
あまりの衝撃に身体の具合が悪くなるくらい悲しくなりました。

それ以来、ここ一か月は毎日、家でもクルマの中でもフリートウッドマックを聞いています。
素晴らしい音楽に出逢えたことに日々感謝しています。
そしてクリスティン・マクヴィーの冥福を祈ります。

 

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