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2025/07/09

「夫婦脳/黒川伊保子」を読みました。

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『夫婦脳/黒川伊保子著(新潮文庫)』を古本で読みました。

2008~2010年「電気協会報に《男と女の脳科学》として連載」と、2009~2010年「ひろぎん経済研究所機関誌に《感じることば》として連載」されたものを改題加筆・修正し収録したものでした。

黒川さんのご著書は、この本以外にもベストセラーがたくさんあり、私も何冊か読みましたし、ラジオなどへの出演時にご本人のお話しを聞いたこともあります。
その度に、「ああ、ここで例示されている“困った夫”はまさに俺の姿ではないか・・と、いつもガックリと膝を落とすように倒れ込むのでした。

そして例示されている妻の様子は、まさに私の配偶者そのものの様子 ^_^;どうして人んちのことがこんなに手に取るようにわかっちゃうんだろう・・と思い、今後改めようと思うには思うのですが、修正するところが多すぎて覚えきれないよ・・(T_T)となってしまうのでした。

誰もが、どの夫婦が読んでも、夫も妻も思い当たる節ばかりのハズです。

今回の本でもひとつウチの夫婦と合致した例を挙げてみると・・

私が帰宅すると、妻から何か相談というか、聞いてほしいことがあると話が始まり、それは朝起きてから起こった出来事の詳細、会った人すべてについて、こんなところにも出くわした、などなど延々と話が続き、私はどのエピソードのどの部分、どの言葉などがキーワードとなるのか、必死で聞き続けるわけですが、それらは全て相談にのってほしいと言ったこととは何の関係も無いのです。
こんな状態が最低でも30分以上続いて、本題が出てくるのは一時間以内であれば、それはラッキーなことです。いつ終わるかわからず、本題は何なのか、いつまで経ってもわからない、そういうことなのです。

で、「本題は何なの?!」などと聞こうものなら、そこから「あなたは何にもわかっていない、人の話が聞けない、共感も出来ない、最低の男だ」ということになり、私は地獄の底に突き落とされ、そのあと口もきいてもらえなくなるのです。

黒川さんに言わせれば、女性はあったこと、見たこと、起こったこと全てを時系列になめる様に伝えていくのであり、本題そのものよりも、それらを全て聞いてもらって「そうなんだ、たいへんだったね」などと相槌を打ってもらいたいわけです。
そんなことがわからぬ男は問題にならぬほどダメ夫であるというわけです。

今じゃあ、何冊も黒川さんの本を読んできたので、その辺は“なんとか、かんとか”死に物狂いでクリアできるのですが、こんなことは夫婦の間では氷山の一角のエピソードです。
男も女も、このくらいのことは、心して読み始めないと、途中で泣きたくなると思いますよ。

あんまりネタばれ的なことを長文で書いても何なので、夫婦の話以外で面白かったものをひとつ挙げておきましょう。

素晴らしいリーダーというものは、登場しただけで、部下もその他の人たちも笑顔にしてしまう人だ、という部分でした。
最近、どこかの大統領が妙なキャップを被り、テレビの画面に登場しただけで気分が悪くなり、体調も崩し気味です。聞かせてやりたいっ!

自分を待ってくれている人たちの存在を微塵の憂いも不安もなく、邪気なく、嬉しがれる能力こそがリーダーの資質なのだろう、とおっしゃっています。そのとおりだ。

そしてそのためには、日頃から「被害者」にけっしてならない覚悟が必要だと。

誰かに裏切られても、裏切らせてしまったことを憂い、他者に迷惑が及ばないように慮る。
自分を被害者にして可哀想がったり、他人を恨んだりしない覚悟があってこそ、邪気なく人を嬉しがれる。
その「被害者にならない」覚悟こそが、リーダーの資質なのだと思う。とのことでございました。
聞かせてやりたいヤツばかりのお話しで締めて、本日の読後感を終えたいと存じます。

 

2025/07/05

「どうせ、あちらへは手ぶらで行く/城山三郎」を読みました。

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『どうせ、あちらへは手ぶらで行く/城山三郎著(新潮社)』を古本で見つけ、読んでみました。
1927年生まれで、2007年に亡くなられた城山三郎氏の最晩年まで綴られた手帳を次女の井上紀子さん(※長女弓子さんは生後数ヶ月で早逝されている)が、父の心の内を垣間見るのを娘とはいえできぬことと思い、ためらいながら最終的にこの本として成立させたものです。

発行は2009年となっておりました。

最愛の奥さんが倒れる前年から、著者の最晩年まで、手帳には自らを励ますような言葉も多々見受けられ、でもあの著書「そうか、もう君はいないのか」でも読み取られた抑えがたい悲しみも、何度も何度も綴られていました。

そして城山三郎さんご自身の老いとの葛藤も。
城山さんの手帳に書かれたメモからこの本は出来上がっているのですが、鍵や、招待状、帽子にコート、待ち合わせの場所など、物忘れのひどさの様子もわかりました。

また、体重についても書かれていましたが、奥さんが亡くなられてからは体重の減少があり、読んでいるこちらも気になりました。

お好きだったゴルフのスコアも、悪くなっていく様子がわかり、最後の方はスコアも書かれていませんでした。

日々、自分を励ますだけでなく、「これでいいんだ“鈍鈍楽”で生きよう」という晩年をなんとか気持ち安らかに過ごそうという自分へ言い聞かせるような部分もありました。
あと何年かしたら私も同様の境地になるのかもしれない・・と思いました。

城山さんの作品は何冊も読み、このブログでも読後感を何度かご紹介していますが、晩年の執筆する様子もわかりました。

緻密で事前の調査作業は大変なものだろうと思ってはおりましたが、執筆の“裏側”も垣間見ることができて、うれしくもありました。

ますます城山三郎という作家を好きになりました。

 

2025/07/03

「受け月/伊集院静」を読みました。

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『受け月/伊集院静著(文春文庫)』を古本で読みました。
1992年単行本で出版され、1995年文庫化されたものです。

七つの短編からなっている短編集でした。

どの話も伊集院さんも若い頃野球選手だったのですが、野球の選手、監督などに因んだ話になっていて、夫婦の問題、親子の問題、男女の問題などに絡んで味わいのある人生模様が描かれていました。

野球というものは不思議なもので、何か“哀感”というか、“やるせない気持ち”や、心の中に存在する“支え”のようなものと馴染むスポーツだという気がします。

私も就職した頃から何年間かに渡って、中学時代の友達が作った草野球チームに入っていたことがあります。
私は学校の部活などで野球をやったことはありませんでしたが、チームメートは皆高校では野球部、そして大学に進学した者も大学で野球をやっていた強者ばかりでした。

レベルが違うのですが、それでも何とかチームの中で頑張り、その中で友情や、それぞれが抱えている悩み・問題なども感じたりしていたことを思い出します。
なぜか野球はそういう人生模様とうまく絡んで、ある一定の役割を果たしていたと思います。

この伊集院さんの短編集も、それぞれの話が野球というスポーツと絡み合い、夫婦や恋人の関係、人生の先輩との関りなどに深みを与えていました。

伊集院さんの小説は場面転換がまるでテレビや映画のカットがスパッと切り替わるように展開していて、過去と未来が素早く入れ替わったり、別の場所に入れ替わったりして、それがとても小気味よく、テンポのいいものでした。

さらに、極端に酷いことになったり、極悪人が現れるでもなく、かと言ってハッピーエンドでもなく、人が決意したり、諦めたりする中で人生にけじめを着けて行く様子が淡々と描かれていました。

絶妙な筆致で描かれたそれぞれの人生をしみじみと味わいながら読み終えました。
静かにこれからの自分のことを考えることにもなりました。

 

2025/06/29

映画「カーテンコールの灯(あかり) Ghost light」を見てきました。

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映画『カーテンコールの灯(Ghost light)/2024年 アメリカ 監督:ケリー・オサリヴァン、アレックス・トンプソン 脚本:ケリー・オサリヴァン 出演:キース・カプフェラー、キャサリン・マレン・カプフェラー、タラ・マレン、ドリー・デ・レオン』を見てきました。

割と小さな独立系の作品でありながら、なかなかの力作というか内容は濃く、家族や仲間との滲み出るような深く情愛あふれる映画でした。

それぞれに心に傷を負った家族三人の物語なのですが、夫・妻・娘の配役は三人とも実の家族という・・驚きの“そのまんま”キャストです。

この三人家族にはさらに長男がいたのですが、不幸な亡くなり方をしていて、その亡くなり方がシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のロミオ的な亡くなり方をしていて、この事件が家族に重い影を落としています。

建設工事現場の作業員をしている主人公はもう年配なのですが、精神的にもつらい状況で、仕事も追われるような状態になりつつあり、悩みの淵に居るときに半ば強引に地域のアマチュア劇団に参加することになってしまい、そこからこの映画のストーリーは急展開を見せます。

 

 

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家族の状態が悪くなりつつある中で、素人ながら次第に劇団での活動に生きる意味を少しずつ見出していく主人公。

そこで演じる演目はなんと「ロミオとジュリエット」で、脇役から入っていったのに、突然の配役変更でロミオ役に。
超年配のロミオとジュリエットとなるのですが、最後の勘違いの死のシーンには現実と重ね合わせてしまうことになり、精神的に耐えられず、いったいどうなっていくのだろう・・と見ているこちらは気をもみます。

家族に劇団活動をしていることがバレてからの家族関係も繊細で見応えがあり、娘との関係回復なるか、と手に汗握ります。

そして、エンディングの「ロミオとジュリエット」本公演。
どうしても出来なかった「死のシーン」を主人公は演じられるのか、もう自分も家族になったような気持ちで見守りました。

そして劇団員の仲間達との関係も心動かされました。

もう涙なしには見られないエンディング。いい映画でした。
私が求めている映画、物語はこういうものだとあらためて感じました。

ストーリーと共にロミオとジュリエットが進行していく見事な展開、ぜひ映画館で見てほしい作品だと思いました。

 

2025/06/26

俳句を詠んでみる_0478【 熱帯夜 恋の瓦解に 時いらず 】

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恋の末路は・・という句を詠んでみました。

【 熱帯夜 恋の瓦解に 時いらず 】

《背景》季語:熱帯夜[夏]
長いこと生きてきて、若い頃でも、それなりに歳を経てからでも、「恋」というものは、芽生え、片想い、さらに育んでいくのには時間がかかり、そこまでが良い時期であることがわかった。
そして成就した時をピークにして、あとは苦難・困難が待ち受けている。
やがて終焉を迎えることになるが、「恋」という正体不明のものが“瓦解”するのに時間はいらない。
熱帯夜の一夜もあれば充分だ。

 

2025/06/22

映画「突然、君がいなくなって」を見ました。

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映画『突然、君がいなくなって(原題:Ljosbrot/英題:When The Light Breaks)/2024年 アイスランド=オランダ=クロアチア=フランス 監督・脚本:ルーナ・ルーナソン 出演:エリーン・ハットル、ミカエル・コーバー、カトラ・ニャルスドッティル、バルドゥル・エイナルソンアゥグスト・ウィグム、グンナル・フラプン・クリスチャンソン』を見て来ました。
アイスランド中心の映画なんて今まで見たことがあったかなぁ・・と思いつつ、色彩の使い方や、クリアでない画像から受ける不思議な印象、カメラのアングルも独特です。

主人公は美大生の女性ですが、恋人との関係は秘密になっている。
それは彼に遠距離恋愛をしている長年の恋人がいて、今まさにその遠距離恋愛の恋人に彼が別れを告げに行く前夜だ。

そして、クルマに乗り別れを告げに出かけるが、途中の事故で帰らぬ人となってしまいます。

 

 

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誰もが彼女と認める遠距離恋愛の彼女がやって来て涙を流し、悲しむが、でも主人公の女性は、まだ誰にも現在の彼女だとは言っていない・・。

突然に最愛の人を失い、その悲しみを誰にも打ち明けられない。

そして遠距離恋愛をしていた彼女と主人公の女性は、狂おしいほどの緊張感の中、徐々に近づき距離感を詰めていきます。

それだけのストーリーなのですが、でも心模様の中身は濃く、美しい背景などの映像も伴なって魅力的な映画になっていました。

巨額の予算で一大エンターテインメントの大作にしたような映画よりも、ずっと見甲斐のある、心に残る映画でした。

 

2025/06/04

俳句を詠んでみる_0458【 香水の香 歳上の女(ひと)の背中 】

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ずっと昔の記憶なのか、そうではないのか、思い起こして一句詠みました。

【 香水の香 歳上の女(ひと)の背中 】

《背景》季語:香水[夏]
20代の若い頃、歳上の女性とつき合ったことがある。
靴を履きなおす仕草をした時などにかがんだ背中の方から香水の香りがして、大人の女の人だ・・と思った。

 

2025/06/03

「クスリと笑える、17音の物語 寝る前に読む一句、二句。/夏井いつき・ローゼン千津」を読みました。

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『クスリと笑える、17音の物語 寝る前に読む一句、二句。/夏井いつき・ローゼン千津(ワニブックス)』を古本で見つけて読みました。
2017年初版発行となっています。

この本は、あの夏井いつき先生と、その妹ローゼン千津さんが対談形式にして過去の名人上手の俳句を元ネタにして対談形式で“依頼された啓発本”を形成していく・・というものでした。

私が読んだ感じだと、啓発に“似たようなもの”を姉妹でちょっとユーモアを交えつつ俳句を“肴”にああでもないし、こうでもないと作り上げたものと、とらえました・・。

夏井さんは割と気が短く、即断的で理論的。ローゼンさんはのんびり屋で、情緒・感情が先走り、結論は後回し、そんな印象で読みましたが、しかも二人は姉妹なので遠慮会釈なく相手にものを言うので、“押さば引け、引かば押せ”のやり取りが実に絶妙で面白い!(^^;)

そもそも俎上にあがっている俳句の捉え方も両極端な感じで、だからこその人それぞれのものの感じ方、生き方、行動に対してのお二人の考えが発散されるように言葉のやり取りとして結実していて、読み応えがある対談になっていました。

しかも、私のような者には季語、俳句の勉強になりました、とても。

例として挙げられた俳句の作者も錚々たる顔ぶれでした。

高浜虚子、鈴木真砂女、中村草田男、星野立子、鷹羽狩行、飯田龍太、西村和子、ドナルドキーン・・まだまだ強者が・・。

私の印象に残った句は

罪もなく流されたしや佐渡の月 ドナルドキーン

笑ひ茸食べて笑ってみたきかな 鈴木真砂女

鰯雲人に告ぐべきことならず 加藤楸邨

出歩きや梅雨の戸じまりこれでよし 高田つや女

いつくしめば叱るときける寒さかな 松根東洋城

などでした。
どんなことを詠んでいるのか、そして夏井さんとローゼンさんはどう読んで、どう啓発に結びつけたのか・・ぜひこの本を読んでみてください。

 

2025/05/27

俳句を詠んでみる_0450【 自転車漕ぐ二人 夏の遊園地へ 】

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中学生のときに彼女と遊園地目指して自転車に乗ったことを思い出して詠みました。

【 自転車漕ぐ二人 夏の遊園地へ 】

《背景》季語:夏[夏]
中学生の頃、一学年下の彼女と自転車で隣の市の「こどもの国」という大きな遊園地に、夏の休日に行ってみようという計画を立てた。
今思うと、クルマでも40分~50分かかるような距離、しかもアップダウンの激しい道だった。
必死で自転車を漕ぎ、たどり着いたが、なぜだかいい思い出として心に残っている。
巨大迷路で遊んだ記憶が微かにあるのだが・・定かではない。

 

 

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2025/05/24

「人生はドンマイドンマイ/美輪明宏」を読みました。

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『人生はドンマイドンマイ/美輪明宏著(家の光協会)』を古本で手に入れ、読んでみました。
2013年第一刷発行となっていました。
2010年から2013年にかけて月刊誌「家の光」に連載された「美輪明宏の人生相談」をまとめたものでした。

人生相談といっても、美輪さんが相談にのっているわけですから、通常の相談者に“寄り添い過ぎる”ようなことは勿論ありませんでした。

自分の不幸を人のせいにする

結婚したらあとは思うがままの人生になると思ったのに・・

放蕩息子や孫、浪費する娘、ゴミ屋敷になるくらい整理の出来ない身内について

金銭問題を起こす身内に対する不満

などなど、次から次へと来る相談に対しては、その多くの回答で「あなたの考え方、行動が間違っている」「もっと感謝して生きろ」「あなたのことなんか世間は気にしていない」など(^_^;)、けっこう“一刀両断”で返り討ちにしているパターンが多かったのです。

時には慰めたり、元気づけたりすることもありましたが、ちょっと今どきの相談とは様相が異なっておりました(^^;

でも、それでいいんじゃないか、とも思いました。
最近はちょっと“腫れ物に触る”ような相対をする先生が多すぎるような気もしてきました。この本を読んで。

なんか似たような記憶があるな、と思い起こしてみたら、伊集院静さんの人生相談も遠慮会釈なしに、歯に衣着せぬものだったなあと。

タイプは異なりますけど。

伊集院さんは、バンバン背中を叩いて「しっかりせいっ!」という感じですが、美輪さんの方は「人生なんてこういうもの、諦めるところはあきらめ、淡々と進みなさい」という感じなのです。

ただ、普通の人生相談とはちがって、お二人からの回答は、確実に相談者にとって方向性が示されていると思いました。
私にとっても、「そうか、そう考えればいいんだ」と思うことがいくつもありました。

古い本でしたが、身を乗り出して読みました。

 

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