『世界に誇る日本のアート 春画ベスト100/永井義男(宝島社新書)』を古本で手に入れて見てみました。
2019年第一刷発行となっていて、著者は「算額奇人伝」で開高健賞を受賞し、その後作家活動に入り、「江戸春画考」「図説吉原事典」などを出されている方だとのこと。
春画はもちろん表向きには“違法”だったわけですが、でも江戸の庶民には欠かせないものだったと思われます。
そして、たぶんこれを見た外国の人は驚愕したと思います。
特に、葛飾北斎の蛸と女が交わっている有名な春画が有りますが(この本にも掲載されている)、あれなどは“こういう絵を描いてもいいのだ”というインパクトがただ事ではなかったのだと想像します。
そして裏の世界のものなのに、北斎はじめ、喜多川歌麿や歌川国芳ら大御所も描いていて、物によっては、彫り師、刷り師も一流どころが腕をふるい、素晴しい浮世絵となっています。
あんな絵、こんな絵が描かれているわけですが、その価値は風俗的にも芸術的にも高いものであるとよくわかりました。
さらに、著者も書かれていましたが、どんな時代でも“やることは一緒”なんだ(^^;)ということを強く感じました。
でも、この本を見て、当時の方がエロティックなことへの飽くなき探求心はとても強く、さらに夫婦仲がかなり良かったのだとわかりました。
でもって、男女の仲というか、“助平”なことへの貪欲なまでの入れ込みようは、男も女も今の人達の何十倍もエネルギッシュだったのだと思いました。
ある意味、そんな時代の方が日本人らしいのではないかと密かに思っていましたが、それが確信に近いものになりました。
みんな自分のことばかり考え、コスパだなんだと、自己のメリットばかりを考えているから“レス”な夫婦がどんどん増えていくのだとも思いました。
たまにはこんな本を見て、ものの“原点”に返ることも、よきことではないかと気付き、読了いたしました。
『春本を愉しむ/出久根達郎著(新潮選書)』を古本で見つけ、“積ん読”状態だったものを読んでみました。
著者・出久根達郎さんは古書店を営むかたわら文筆生活に入り、その後講談社エッセイ賞、そして直木賞も受賞されました。
古本屋さんですから、「春本」と出くわす機会もけっこう多いと思いますし、文中にあるように同業者仲間から色々と流れてくるものもあるようです。
面白かったのは、春本はその時代には取り締まりが厳しく、発行者は罰せられることも多々あり、世間に流布させるために“暗号化”の工夫が必要だったようです。それもすぐにわかってしまうようなものでなく、なかなか解読の難しい方法で。
出久根さんが、その暗号解読に挑んでいるところも書かれていましたが、“そうまでして読みたいのか”と、思ってしまうのですが、当時としては、そうしてまで読みたいくらいの存在だったのだと思います。
だって、インターネットも動画も無いんですから・・。
文中にもありましたが、石川啄木も春本を解読し、ローマ字で帳面にうつして、それをあとで見て愉しんでいたとのこと。
死後にはその帳面を焼き払うようにと指示していたものの、実際には後々奥さんがそれを公開しています。
今となっては貴重な資料となったわけですが、私が啄木だったら草葉の陰で真っ赤になって恥ずかしくなったと思います(^_^;)
春本に関しては、漱石や鴎外などの文豪の作品の中に彼らが読んでいたとわかる痕跡も見受けられると書かれていました。面白いっ!
私もこの解読しながら紹介されているものを読んで、当時の男女、夫婦、その他の複雑な関係、そして意外や性愛の技法の先進性!(#^.^#)にも驚きました。
さらに、今よりずっと緩い男と女の関係、さらにさらに男女だけでない性愛関係などもあり、当時の方が現代よりずっと自由で、人間性重視、文化も開かれていたと感じました。
今の世の中、どこかの大統領もそうだけど、日本国内も男女だけの性愛関係のみ認めたり、民族・人種で大きな差別をしようとしたりするような団体が人気を得ていて、多様性を否定する不穏な世の中を感じます。
単に春本を読むというよりも、様々なことを考えさせられる本でした。
力作です。
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