『春本を愉しむ/出久根達郎著(新潮選書)』を古本で見つけ、“積ん読”状態だったものを読んでみました。
著者・出久根達郎さんは古書店を営むかたわら文筆生活に入り、その後講談社エッセイ賞、そして直木賞も受賞されました。
古本屋さんですから、「春本」と出くわす機会もけっこう多いと思いますし、文中にあるように同業者仲間から色々と流れてくるものもあるようです。
面白かったのは、春本はその時代には取り締まりが厳しく、発行者は罰せられることも多々あり、世間に流布させるために“暗号化”の工夫が必要だったようです。それもすぐにわかってしまうようなものでなく、なかなか解読の難しい方法で。
出久根さんが、その暗号解読に挑んでいるところも書かれていましたが、“そうまでして読みたいのか”と、思ってしまうのですが、当時としては、そうしてまで読みたいくらいの存在だったのだと思います。
だって、インターネットも動画も無いんですから・・。
文中にもありましたが、石川啄木も春本を解読し、ローマ字で帳面にうつして、それをあとで見て愉しんでいたとのこと。
死後にはその帳面を焼き払うようにと指示していたものの、実際には後々奥さんがそれを公開しています。
今となっては貴重な資料となったわけですが、私が啄木だったら草葉の陰で真っ赤になって恥ずかしくなったと思います(^_^;)
春本に関しては、漱石や鴎外などの文豪の作品の中に彼らが読んでいたとわかる痕跡も見受けられると書かれていました。面白いっ!
私もこの解読しながら紹介されているものを読んで、当時の男女、夫婦、その他の複雑な関係、そして意外や性愛の技法の先進性!(#^.^#)にも驚きました。
さらに、今よりずっと緩い男と女の関係、さらにさらに男女だけでない性愛関係などもあり、当時の方が現代よりずっと自由で、人間性重視、文化も開かれていたと感じました。
今の世の中、どこかの大統領もそうだけど、日本国内も男女だけの性愛関係のみ認めたり、民族・人種で大きな差別をしようとしたりするような団体が人気を得ていて、多様性を否定する不穏な世の中を感じます。
単に春本を読むというよりも、様々なことを考えさせられる本でした。
力作です。
『続 失踪願望。 -さらば友よ編-/椎名誠著(集英社)』を古本で見つけ、読みました。
この9月頭に「失踪願望。 -コロナふらふら格闘編」を読んでおりましたので、その続編です。
この本の中で椎名さんは80歳を迎えています。
前回のブログにも書きましたが、椎名さんがそんな歳になっている、時は流れた・・と感慨深く、若い頃に夢中になって椎名さんの本や、「本の雑誌」の草創期の頃を思い出しました。
そしてその「本の雑誌」を共に作り上げた「目黒考二」さんが亡くなられたときのことも書かれていました。
椎名さんにストレートに鋭い指摘、意見もする人でした。
文芸評論家として舌鋒鋭い方でもありました。
椎名さんの全著作を「椎名の仕事」として、順番に読み、批評していくということもされて、私も読みましたが、たいへんな調査・分析・読解力に舌を巻きました。
さらにその目黒さんからは、椎名さんに対し「私小説の怒涛の奔流はセスクアリスだぜ。お前はのらりくらりとして書いてこなかった。ずるいぜ。逃げるなよ。」という指摘も受けた椎名さん・・ついにこの本でかなり強烈で驚くべき文を書き、その指摘に応えています。私も読んで驚きました。
今までの椎名さんとはまったく異なる人格、世界が描かれていました。
目黒さんの具合がかなり悪くなり、連絡が取れなかったときに本人から電話が有り、励ましの言葉はいらないから楽しい思い出を話そうと言われ、お二人がしたお話しについても書かれていました。
そして「じゃあな」「じゃあな」のやり取りが最後となり、そのあとに椎名さんは長い手紙を書き送っています。
その手紙はお棺に入れられたそうです。
そんな話も聞き、今の椎名さんはどのような心境なのか・・学生時代から椎名さんの本を読んできた自分もちょっと寂しいような気持ちになりました。
椎名さんは、これからの自分ことを、この本で書かれています。
若い頃から色々あった奥さんとのことについても、今まで読むことのなかったことが書かれていました。
そんなときに世界中に出かけて行った頃とはまた異なる今の椎名さん、そして奥さんとの今の生活、生き方を感じることができました。
私にとっても、これからの自分を色々と考えるきっかけになりました。
『十年不倫の男たち/衿野未矢著(新潮文庫)』を古本で見つけて読みました。
2009年の文庫書き下ろしとなっていました。
読んでみると、この本の前段には「十年不倫」というノンフィクション作品があり、それはかなり話題となり、売れていたようです。
この「十年不倫の男たち」は、好評につき、その続編として書かれていました。
著者には前作の影響もあり、自ら「話を聞いてくれ」と“不倫の状況”について語ろうとする人も現れ、逆に“よくもあんなこと書いてくれたな”みたいな怒っている人もいたりして、ネタに事欠かない状況であったことがわかりました。
不倫というのは、人に語りたくなる人の割合の方が多いようです。この本を読んでの感想ですが。
また、タイトルには“男たち”となっていますが、不倫を語る女の人も登場していて、全体的な感想を言うと、とても意外な感じでした。
もっと、やむにやまれぬ“愛”について語られるのかと思っていたのです。
さらにいうと、“純愛”的な展開でこのノンフィクションは書かれているのではないかと思い、「よし、その「思いのたけ」、聞いてやろうじゃないの」と思っていたのです(^_^;)が・・。
現実は、もっともっと打算的であったり、惰性的であったり、投げやりな様子であったりで、妻(夫)に対しても不倫相手に対しても、どっちつかずの放置されたような“荒れた”状態というのが不倫を続ける人たちの正体だったように感じました。
・・ベストセラーになっていたようなので、私の感じ方が極端で、もっと不倫している人の愛情についてセンサーを効かせて感情移入するくらいの読み方をする必要があったのかもしれませんが。
私は300頁を超えるこの本の半ばあたりで、もう降参状態になり、あとは流し読みになってしまいました。
この本に求めているものが“そぐわなかった”のだと思います。
ちょっと期待していたものではなかったのですが、読めばそれは“読み応え”のあるドキュメンタリーが書かれていました。
また、人間の“サガ”が痛いほどわかる本でもありました。
不倫をしている人も、これからする人も、興味のある人も、不倫に対して正義感を振りかざす人も一度は読んでみた方がいい本かもしれません。
『肉体の学校/三島由紀夫著(ちくま文庫)』を読みました。
1964年に刊行された作品の文庫化(1992年)版です。
この本に書かれている時代は古く、いまだ戦後の「華族制度」にしがみついている人々が登場します。
主人公の女性も華族出身で、社会的にはファッション界で一流の位置にいる。
そして同様の華族出身の女性二人と三人の会を月一で開いている。
女性は三人とも離婚後に不自由なく“離婚成金”的に過ごしている。
さらにやはりある地位にいる男などとの自由な恋愛を楽しみ、“月一”の会で互いに内緒の約束で生活状況と男の話を情報交換するのでした。
社会的な地位と安定した裕福な生活を手に入れようとする主人公妙子の年下の恋人はゲイ・バーで働く美青年。
その美青年の美しい体を金で買おうとする男や女もいて、時代背景は昔のことなのに、全く古さを感じさせない設定と、物語の進行。
現在の小説だと言ってもそのまま通用するような世界が描かれていました。
むしろこの三島由紀夫が描いた世界は、ある一定の世界の頂点にいるような人々の、精神性を感じさせ、優雅な雰囲気さえも感じる不思議と品位のある作品になっていました。
男女の営みは読んでみれば直接の描写は無いのに、非常にエロティックである。
そんな世界観の小説は今でもあるにはあるだろうが、でもこの「肉体の学校」に描かれているような不思議と典雅な雰囲気にはならないだろうと思う。
簡単に言ってしまうと、下卑たものになってしまうのではないかと思うのです。
そして作品そのものが“立っている”というか、文学作品として屹立しているのに驚きました。
三島由紀夫、やはり凄い。怖ろしいまでの作品感でした。
読み終えて・・ずっと恐れ入っておりました・・。
『夫婦脳/黒川伊保子著(新潮文庫)』を古本で読みました。
2008~2010年「電気協会報に《男と女の脳科学》として連載」と、2009~2010年「ひろぎん経済研究所機関誌に《感じることば》として連載」されたものを改題加筆・修正し収録したものでした。
黒川さんのご著書は、この本以外にもベストセラーがたくさんあり、私も何冊か読みましたし、ラジオなどへの出演時にご本人のお話しを聞いたこともあります。
その度に、「ああ、ここで例示されている“困った夫”はまさに俺の姿ではないか・・と、いつもガックリと膝を落とすように倒れ込むのでした。
そして例示されている妻の様子は、まさに私の配偶者そのものの様子 ^_^;どうして人んちのことがこんなに手に取るようにわかっちゃうんだろう・・と思い、今後改めようと思うには思うのですが、修正するところが多すぎて覚えきれないよ・・(T_T)となってしまうのでした。
誰もが、どの夫婦が読んでも、夫も妻も思い当たる節ばかりのハズです。
今回の本でもひとつウチの夫婦と合致した例を挙げてみると・・
私が帰宅すると、妻から何か相談というか、聞いてほしいことがあると話が始まり、それは朝起きてから起こった出来事の詳細、会った人すべてについて、こんなところにも出くわした、などなど延々と話が続き、私はどのエピソードのどの部分、どの言葉などがキーワードとなるのか、必死で聞き続けるわけですが、それらは全て相談にのってほしいと言ったこととは何の関係も無いのです。
こんな状態が最低でも30分以上続いて、本題が出てくるのは一時間以内であれば、それはラッキーなことです。いつ終わるかわからず、本題は何なのか、いつまで経ってもわからない、そういうことなのです。
で、「本題は何なの?!」などと聞こうものなら、そこから「あなたは何にもわかっていない、人の話が聞けない、共感も出来ない、最低の男だ」ということになり、私は地獄の底に突き落とされ、そのあと口もきいてもらえなくなるのです。
黒川さんに言わせれば、女性はあったこと、見たこと、起こったこと全てを時系列になめる様に伝えていくのであり、本題そのものよりも、それらを全て聞いてもらって「そうなんだ、たいへんだったね」などと相槌を打ってもらいたいわけです。
そんなことがわからぬ男は問題にならぬほどダメ夫であるというわけです。
今じゃあ、何冊も黒川さんの本を読んできたので、その辺は“なんとか、かんとか”死に物狂いでクリアできるのですが、こんなことは夫婦の間では氷山の一角のエピソードです。
男も女も、このくらいのことは、心して読み始めないと、途中で泣きたくなると思いますよ。
あんまりネタばれ的なことを長文で書いても何なので、夫婦の話以外で面白かったものをひとつ挙げておきましょう。
素晴らしいリーダーというものは、登場しただけで、部下もその他の人たちも笑顔にしてしまう人だ、という部分でした。
最近、どこかの大統領が妙なキャップを被り、テレビの画面に登場しただけで気分が悪くなり、体調も崩し気味です。聞かせてやりたいっ!
自分を待ってくれている人たちの存在を微塵の憂いも不安もなく、邪気なく、嬉しがれる能力こそがリーダーの資質なのだろう、とおっしゃっています。そのとおりだ。
そしてそのためには、日頃から「被害者」にけっしてならない覚悟が必要だと。
誰かに裏切られても、裏切らせてしまったことを憂い、他者に迷惑が及ばないように慮る。
自分を被害者にして可哀想がったり、他人を恨んだりしない覚悟があってこそ、邪気なく人を嬉しがれる。
その「被害者にならない」覚悟こそが、リーダーの資質なのだと思う。とのことでございました。
聞かせてやりたいヤツばかりのお話しで締めて、本日の読後感を終えたいと存じます。
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