『悩める人、いらっしゃい・内田樹の生存戦略/内田樹著(自由国民社)』を古本で見つけ、読んでみました。
2016年第一刷発行となっていました。
この本は寄せられた“相談”に著者・内田樹氏が答えていく形式で進められています。
相談は2012年から2016年までに寄せられたものです。
読み終えての印象は、ここで出ている質問・相談者は、ほとんど何も自分で考えていない人ばかり、おまけに無責任で人任せな質問ばかりでした。
この本の成り立ちがよくわかっていないのですが、無理やり作った質問のように見えて仕方ありませんでした。
ま、それはさておいて。
ひとつ共感というか、同感した問題がありました。
今、現代の人たちは、最小の労力や費用で、すでに分かっている結果・効果・資格などを得ることを一番の旨としていて、この努力や探求によって何が得られるかもわからないが突き進んでみる・・なんていうことは“無駄”だから一切やらないのだ。
という考え方が蔓延しているという部分でした。
なおかつ、人のため、社会・世の中のために役立つのではないか、という考えで探求していく人など今やほとんどいないということでした。
私のようなもののかつての職場でも、たくさんそんな例を見てまいりました。
新しい“社会・仕事のキーワード”のようなものが流布されると、それについて「調べろ、レポートを作れ、やってみろ」と云う上司は、「それをやった」という結論のみが欲しくて、それを自分の手柄にするためにのみ命令するのでした。
それが8千人の職員の仕事に、あるいは社会的に、どれほど役立ち、効率が上るかなどということには実際興味はなく、ただ目をつけた、そしてやってみたことに対する人からの評価が問題なのでした。
職員がPCで仕事以外のことを、特にインターネットを使ってやっていることについて自動的に調査出来るシステムを私の部署で稼働させた時には、虫も殺さぬような善人で誰もが知っている人、真面目・堅実な仕事ぶりが印象にある人達が内緒だと言って私のところに乗り込んで来たことを思い出します。
ようするに自分のライバルの仕事状況を知りたいからデータを流してもらえないか、という信じられないことを言いに来たのでした。ライバルを蹴落としてでも出世の先頭に立ちたいのでしょう。
全てその場で「自分がやろうとしていることがどんなことかわかっているのか」と断りましたが、さらに私の上の人間に働きかけたのかは不明です。
システムを職場の効率、公正性に役立てるなんてこと頭の片隅にもないことがわかり、出世する人っていうのは、こういう人間なのだとあらためて感じたのですが、この本で言っていたことの事実版です。
この本の後半は、もうどうでもいいことを無責任に聞いてくる質問だったので、流し読みになりましたが、それなりに感じることがある本でした。
『運がいいと言われる人の脳科学/黒川伊保子著(新潮文庫)』を古本で手に入れ、読んでみました。
2011年に単行本化されたものですが、元々は2009~11年発行の著作を加筆修正してまとめたものです。
いつもの黒川節がいつものように炸裂(^_^;)しておりましたが、特に私が気になったところを少し挙げてみます。
〇人は自分を被害者に見立てて怯えているときよりも、誰かをかばうために闘っているときの方が、何倍も強いのだと思う。
そう考えれば、かばう人がいる人はしあわせである。
という一文です。
同感です。
私も自分がピンチに見舞われ、大変なことになっているのに、後輩から相談を受けて親身になってアドバイスしたり、手助けしたりしている時は、何故か自分の窮地も忘れるように頑張っていました。
そして、そうすることが私自身を心強くしていたのです。不思議なことです。
〇国家的な非常事態のときに、総理大臣他が官邸に速やかに移らなかったことについて、国民や野党などが国会で責めた話が書かれていて、実際は集まるより早くITが進んだ今は公邸などにいても情報収集は出来るし、連絡も取れるのだという与党の弁明があった話でした。
この本にも書かれていますが、国民はその「沈黙」とも取れる、官邸参集までの時間に不安を感じたのであって、いち早く首相や関係大臣が集まる姿を見せることが国民を安心させるのだということなのです。
これにも同感しました。
プロは相手の視線で自分を見るのが大事。相手の立場を慮って相手を安心させるふるまいが大事なのだと思いました。
最後は
〇部下など、相手の失敗を「ちゃんと言ってただろう!」などと責めるのはどうか、という話でした。
「私も再度確認すればよかった」などと「〇〇すればよかった」と相手の責任を追及しない心遣いが大切で、逆に言うと、こういう言葉をかけてもらえる人になるのが大事だという・・そうだな、と頷いてしまう話でした。
いつものように“気づき”の多い本となりました。
銚子・円福寺の寺宝展。室町時代に天皇含めた出勤簿が?!で、一句。
【 冬ぬくし 室町に 出席簿有り 】
《背景》季語:[冬]
銚子の円福寺には、日本の宝、世界的に見ても貴重な古文書が保存されています。
第19回寺宝展で慶応義塾大学教授・佐々木孝浩先生の解説を聞きながら貴重な古文書を目の当たりにした。
室町時代の宮中では、首到和歌といって、毎日指定の場所に出向き、定められた題の和歌を毎日一首詠んで所定の紙に書き付ける形式が盛んだったのだそう。
天皇は歌だけで署名する必要はなく、その女房も署名することなく、ただ二行目の最初を一段下げるとのこと。
後土御門天皇とその女房、さらに多くの出席者の歌と署名がありました。
文明12年(1480年)の自筆です。驚きました。
『森毅の置き土産/森毅(著)・池内紀(編)青土社』という本を古本で見つけ、読んでみました。
2010年第一刷発行となっていました。
著者、森毅氏は数学者であり、評論家、そしてエッセイストとしても活躍され、テレビなどでもお見かけすることがありました。
この本は、その森氏の著作から、ドイツ文学者でエッセイストの池内紀氏が編んだものです。硬軟織り交ぜ、ボリューム感満点でした。
ビシッと自らの考えを言うのですが、でも肩の力は抜けている・・そんな感じのエッセイが私にとってとても魅力に感じました。
私がこの部分はいい、と思ったところを一部ご紹介します。
ものを食ったり飲んだり、とりとめもなくお喋りをした、なんならひとりで、なんということもなく時間が過ぎていく。
それを人生のムダのように言う人もいる。
きっと人生というものになにかの目的がなければならぬ、と考えている人だろう。
人生に目的(エンド)というものがあるとすれば、それは死に決まっている。
と書かれていました。
私も最近そんなことを考えているところでした。
ちょっとした目的はあるかもしれませんが、目的達成の効率ということなら、人生の七割くらいはムダのようなもの、でもそのムダを生きることで、その人の人格が作られます。
仕事が人間を作るのではなく、暇が人間を作る・・いいねえ(#^.^#)まさに今の私の心境。
もうひとつ
若い頃に忙しくしたおかげで、いまをのんびり疲れていられる?!
いやいやそうではなくて、むしろ若いときにムダをしたおかげで、目標や計画と無縁に生きられる。
忙しがってないと不安、というのでは不幸だ。
まさに忙しがってないと不安だったのが、私の働き盛りの年齢の時の心模様でした。
この本、もっともっと早く読んでいたらよかったのに・・。
今の私は大病して仕事も辞め、必死に毎日生きていた、仕事をしていたことをもう一度心の中で思い起こし、反芻して、生きていることに感謝し、やりたいことをして、疲れたら休む、この生活に尽きると思います。
不思議な、力の抜けた、でも希望のある良い本でした。
『図解 眠れなくなるほど面白い 疲労回復の話/梶本修身著(日本文芸社)』という本を興味を持ち、読んでみました。
著者の梶本修身さんがラジオに出演して語られていたのを聞き、語り口が面白く、それに“引っ張られた”^_^; 感じで手に入れたのです。
著者の梶本さんは医学博士で、東京疲労・睡眠クリニック院長です。健康本だけでなく、メディア出演も多数のようで、今回、私はラジオで初めて知ることになりました。
簡単に言うと、『疲労の正体は「脳の疲れ」だった』ということで、それをメインテーマに様々な事例を挙げて疲労回復の方法について書かれていました。
楽しいから疲れない・・と、趣味の作業などは休まずに続けてしまう人が多いと思われますが(私もそんなとろこがある)、それが“超危険”なことだというのです。
「疲れのアラーム」を隠してしまい、それが過労死にまで至るという・・('Д')
疲れのアラームに気づかないと、自律神経の乱れが原因で自律神経失調症ということになり、放置すると深刻なダメージを引き起こす・・なんか思い当たる時期がありました。
とにかく色々なアドバイスが書かれていましたが、少し意外だっのが、栄養ドリンクは飲むほど疲れていく、とか、サプリメントは疲労回復効果には意味ないどころか逆効果だとか、お酒は疲労回復面ではメリットなし、とか、疲れたときはスタミナ食ってのはウソ、だとか、温泉やサウナは疲労回復にとって逆効果(・。・;だとか、仕事帰りにジムに寄るなんてのもダメ、意外なことばかりでした。
そして、疲労回復に効果ある実際の方法が書かれているのですが、それはここで書くと営業妨害なので、興味ある方はこの本実際に手にとってみてください。
暮も押し詰まって疲労の原因について新しいことを知りました。
やれることは少し実践してみようかと思っているところです。
『ひとりで生きる -大人の流儀9- /伊集院静著(講談社)』を古本で見つけ、読んでみました。
2019年発行の本で、初出は「週刊現代」の2018年10月~2019年8月に掲載されたもので、その中から単行本化にあたり抜粋、修正がなされています。
いつも読むことによって心強くしてくれた伊集院さんの本ですが、伊集院さんは昨年11月に亡くなられました。まだまだ力強く叱って欲しかったと今でも思います。
いつもどおりの“伊集院節”ですが、私の心に残った部分を少しだけ抜き出してみます。
〇勘違いと傲慢は、その人の成長をたちまち止まらせる。
・・・天才と言われて、その気になったら終わるのと同じであると伊集院さんはおっしゃっています。
そんな人、有名人でも何人も見てきましたが、私の仕事人生の中でもそんな勘違いをして途中から道筋を外れて行った人がいました。
未知の領域にあるものを発見したり、創造したりするということは、勘違いや傲慢な態度をしている暇も無いほど励まないと出来ないということなのだと伊集院さんはおっしゃっています。
〇※伊集院さんを拾ってくれた会社社長の言葉(故人ですが、ラジオのジャズ番組の司会を長いことやられていて私はファンでした。“お味噌ならハナマルキ”の歌を作った人です。貿易会社を経営されていた。) → 「碌な学歴も、家系さえないおまえが、この社会で生きて行くには他人の十倍、いや百倍働け!三十五歳までは土、日、祝日はないと思って働いて、ようやく人と並ぶんだぞ」
・・・大学を卒業しても就職せず、けっこう“ヤバい”仕事をして、フラフラしていた伊集院さんは、この社長に拾われ、二年間、鍛えられ、時にはやさしい言葉をかけてもらっていたようです。
この社長が亡くなられるまでずっと人生を教えてくれたと感謝していました。
〇時折、銀座の遊び場でネエさん方が、「今のお客さんの時計見ました? XXXXで三千万円するのよ」と耳にした伊集院さん、「よほどの成金か、バカなのだろう」とおっしゃっています。
・・・私もまったくそう思います。学生時代の友達と就職して十数年後に同窓会などで会う機会があると、時計を見せて「これ、わかる?いくらだと思う」と聞いてきた“羽振りの良さそうなヤツ”が何人かいましたが、相手にしませんでした。
というようなことが、たくさん書かれていました。
いつものように自分はそんなに間違った生き方をしてはいないんじゃないか、という確認ができたような気がします。
『新 田中角栄名語録/小林吉弥著(プレジデント社)』を古本で読みました。
12月8日のこのブログで「田中角栄 100の言葉」という宝島社編集の本をご紹介しましたが、同じ古本屋の棚に隣同士に置かれていました。
思わず両方とも手に取り、結局二冊とも読むことになりました。
今回は政治評論家で、23年間に渡り田中角栄取材にエネルギーを注いだ方が書いた田中語録です。
こちらも興味深く読みました。
「人を叱るときは“サシ”でやれ。褒めるときは人前でやることだ。」
という言葉が印象に残りました。
私の仕事人生で、上司であった人達の多くが上記の正反対のことをしていました。
皆の前で厳しく、見せしめのように叱り、褒めるときは二人きりの時に「まあ、よくやったかもな・・」って感じで(^-^;仕方なく褒めたという印象でした。ほんとは褒めたくなかったんでしょう。
それから首相官邸の警護をしていた出入口の署員ボックス(当時の警視庁麹町署の管轄)に向かって、クルマで通るときに、わざわざ自分で窓を開け、片手を上げて必ず『ご苦労さん』と声をかけていたエピソードが載っていました。
田中派担当記者が「なぜ『ご苦労さん』とまで言うのか」と愚問をぶつけると、「当たり前のことじゃないかね」とサラリと言ったそうです。
私が東京勤務時に、麻布十番納涼祭りという数十万人規模の入場者がいるイベントに参加したのですが、当時の局長が休日の東京の現場まで地元からわざわざ訪れて「ご苦労さん」と声を掛けてくれ、しかもイベント用のTシャツにすぐさま着替えてくれて、テントの前に立ち、お客さんの呼び込みをしてくれたのを思い出しました。
やろうと思って出来ることではないと思いました。
ほんとうにそういう人なのです。
しかも、前の人通りが激しく、落ちているゴミを箒と塵取りで率先して掃除してくださったのも印象的でした。
ようするに、田中氏もそういうことなんです。
心から思っていないことは自然にやることは出来ないのだと思います。
上記の他にも角栄氏らしいエピソードが満載で、参考になる言動がたくさん載っていました。
前回の田中角栄本に続いて、勉強になる本でした。
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