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2026/07/12

「よくわかる土中環境/高田宏臣」を読みました。

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『-イラスト&写真でやさしく解説- よくわかる土中環境/高田宏臣著(PARCO出版)』を読みました。

もともとこの本の存在も、著者高田宏臣氏(環境土木研究所 NPO法人地球守)のことも存じ上げていなかったのですが、私の通う鍼灸院の先生が、私とよく話をする中できっと興味があるだろうと、この本を貸してくれたのでした。

先生お見込みのとおり ^_^; たいへん興味ある内容でした。

近年、温暖化その他の影響か、大雨のあとの土砂災害が日本中のあちらこちらで起こっています。
一番記憶に鮮烈なのが、あの熱海の土石流被害でした。

この本にふれるまでの私は、大量の雨と、あのメガソーラー建設などで樹木の伐採が行われたことからこの災害が起こったのだと思っていましたが、実はこの本を読むと、まだまだ“根が深い”ことがわかりました。

冒頭から驚くのですが、あの熱海の被害を見て、現地に出掛けて行った小学生が書いた研究レポートの写し(※あまりにも良く出来ていて大人でも書けないような深い内容になっていた)からこの本が始まるのです。

あとは、写真と図も用いてわかりやすい著者の研究結果、また、実際に試してみた改善方法の結果が記されていて、素人の私が読んでも実にわかりやすい内容でした。

簡単にいうと、山のてっぺんの尾根は岩が盛り上がってできていて、それが草木に覆われて、木々が根っこで包み込み、岩の隙間にも根っこや“菌糸(※これもすごく大事)”が入って、そこを伝う水は山全体に浸みわたって草木を育て、そして谷に湧きだす。
その土中環境が日本の多くの地でくずれているというわけです。

菌糸や木の根は、水が上から下へと流れるだけでなく、下の水分を上にひっぱりあげて、森はいつも乾かずしっとりしている、さらに余分な水は下に行って谷のに湧きだすので、川の水は雨がしばらく降らなくてもいつまでも変わらずに湧き続けるのです。

谷の上の方が埋め立てられたり、川がコンクリートになったり、砂防ダムが出来ることによってさらにまた被害が出たりもしている現状についてもつぶさに現地の状況を調べ、この本に書かれているのでした。

まずはお寺や幼稚園、民家の周囲などから色々な試みをして、かつての土中環境を取り戻す実験的なことも実例が示されていますが、小さなことなのに意外と効果はすぐに見えてきたりもしています。

私達、市民を含めて土木関係の専門家が今後取り組みを方向転換して、かつてあった土中環境回復を目指せないものだろうか、と強く感じつつ読了いたしました。

 

2026/07/08

「大人の説教/山本一力」を読みました。

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『大人の説教/山本一力著(文春文庫)』を古本で見つけ、読みました。
2015年1月第一刷発行となっていました。

タイトルは“大人の説教”となっていますが、“大人ならわかる”くどくない説教でした(^^;)

私の印象に残った部分を少しご紹介します。

著者山本さんご本人が原稿を手書きからワープロで書くようになった時に、北方謙三さんとお話しして、北方さんは全部手書き原稿だとのことで驚いたところでした。

北方さんは、例えば登場人物の「諸葛孔明」についても何度も原稿を書けば登場するが、全て何度でも丁寧に手書きしているのでした。

転じて山本さんは、ワープロに単語登録して、字画が多く何度も出てくるような名前など、例えば「劉備玄徳」は「りび」と打てば出てくるようにしていました。

北方さんはか「字画の多い人物名を書き続けることで、人物が立ってくる」と言うのです。
山本さんは、それを聞いて「おのれの“浅慮”さを思い知り、赤面した」とおっしゃっています。

北方さんの言い分、わかるような気がします。

もうひとつ、

国会議員などが、知っていながら知らぬと言い張り、だれもその場を見ていないと、当人が勘違いをしているという著者の考えを書かれていた部分です。

知らぬ存ぜぬ、記憶にないを連発・・。
テレビで見ているこちらは、やり場のない怒りを溜めるのです。

「天は見てるし、地も見ている。わたしが見ているし、おまえも見ている」
「四つも見ているのに、どうしてだれも見ていないなどと、愚かなことを言い切るのか」

・・もう、そのとおりだと思いませんか。
そんな政治家は今でもたくさん・・というか、ほとんどの人がそんな感じです。

以上、気になった部分の中からふたつのエピソードをご紹介しました。
またまた良い読書が出来たように思います。

 

2026/07/04

「自分らしい幸せに気づく シェイクスピアの言葉/一校舎比較文化研究会(編)」を読みました。

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『自分らしい幸せに気づく シェイクスピアの言葉/一校舎比較文化研究会[編](永岡書店)』という本を古本で見つけ、読んでみました。

最初の40頁程の部分には、シェイクスピアの生い立ちから、劇団などとの関り、戯曲を書いて来た生涯についてわかりやすい解説が付されていました。
たいへん“取っつきやすい”始め方で、久しぶりにシェイクスピア関連の本に手を出した私も記憶がじわじわとよみがえってきました。

四大悲劇の“超あらすじ”や、代表的な喜劇のあらすじも、その他の代表作のあらすじも簡潔に書かれていて、どんどん思い出しました(^^;

私の大好きな『お気に召すまま』からは、「求婚するとき男は四月、結婚すれば十二月。娘時代の娘は五月、妻ともなれば天気も変わる。」
という言葉が抜き出されていました。

要するに“人は変わるもの”ってことですが、今となっては人生経験を積み重ね、このシェイクスピアが戯曲の中で書いた言葉・・しみじみとわかります(^_^;)

『ウインザーの陽気な女房たち』からは、「恋は幻なのか、捕らえようとしても姿はなく、追えば消え去り、逃げれば追いかけてくる。」という言葉が抜き出されていました。

“若気の至り”とも言える頃の自分の姿が浮かんできました ^_^; あの時、私は若かった。

有名な『ハムレット』の「生きるか、死ぬか、それが問題だ。」ってのもありました「To be ,or not to be:that is the question」です。

最も初期の翻訳では、「ある、ありません、それはなんですか?」と訳されていたと聞いたことがあります(^o^)が、誰でも知っているシェイクスピアが書いた有名な言葉です。
王であったハムレットの父を殺してその座に着き、妃であった母を自分のものにしてしまう叔父・・悩み苦しむ主人公ハムレットの言葉でした。
初めてハムレットを読んだときに「ここか!これがあの有名なセリフか!!」と感激したものでした。

その他オセローやリア王、ヴェニスの商人などの名台詞も登場していました。

シェイクスピア好きな私には懐かしくも楽しい読書の時間となりました。

 

2026/06/29

「町を歩いて、縄のれん/太田和彦」を読みました。

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『町を歩いて、縄のれん/太田和彦著(集英社文庫)』を読みました。

2018年2月から12月まで「サンデー毎日」に連載された『浮草双紙』から選出した作品で編んだオリジナル文庫となっていました。

著者、太田さんがかつての日本映画全盛期の映画に、もう一度夢中になって名画座に通う様子や、昨今の居酒屋は“第三世代”に入っていて、会社帰りのちょいと一杯などはあてにせず、目立たなくてもその店を目指してわざわざ来る客を狙っているのだという話など・・今の私にも興味深いものでした。

また太田さんが通うバー「サンボア」についてもふれられていました。
「バーとは、カウンターと瓶棚のあいだに、ひとつの人格があればよい」なんていう名フレーズも記されていて、太田さんの著書ならではです。

また、真空管アンプで聞くボーカル・ジャズの話も出て来ましたが、私もジャズに魅せられてから数十年、太田さんの気持ちはよくわかります。
ジャズにはやはりウイスキーが似合うような気がします。

銀座のビアホール「ライオン」についても太田さんが若い頃に仕事場から通った話から始まり、ライオンの設えやメニュー、そこに集う人のエピソードなども書かれていて、読んでいるだけでもう心は銀座に向かっていました。

お酒と街歩き、人との出会い、その土地ならではの文化などにもふれられていたこの本、楽しく読めました。

太田さん、いつもありがとうございます。

 

2026/06/26

「風の中に立て -伊集院静のことば- [大人の流儀名言集]/伊集院静」を読みました。

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『風の中に立て -伊集院静のことば- [大人の流儀名言集]/伊集院静著(講談社)』を読みました。

「週刊現代」で2009年~2023年に掲載されたものを単行本化するにあたり抜粋、修正したものでした。
そして、私、不覚にも二年前にこの本を読みこの場で感想も書いておりましたが、すっかり忘れていました(^_^;)
でも、新鮮に読んじゃいました。

失恋はしないにこしたことはないが、でもその“苦味の味覚”を知らない人よりも、それを経験した人を信頼する。
という言葉がありました。
いい言葉です。

道理とか、真理などからかけ離れ、『男子なら孤独を知れ』の言葉も心に残りました。
生きていると、そんなことばかりでした。

世の中は不幸の底にある者と幸福の絶頂にある者が隣り合わせて立つものだ。
だから大人の男は“ハシャグナ”というのだ。
とも書かれていました。
“はしゃぎ過ぎ”は、すぐ隣にいるかもしれない哀しみの底にいる人にはちとキツイはずです。
だから思います。・・サッカー“はしゃぎ過ぎ”・・。

伊集院さんと立教大学の野球部で同期だった、かつて巨人軍で最下位・大ピンチの長嶋監督を支えた横山忠夫さん(※投手、覚えている人も多いと思う)からの追悼の文も載っていました。
伊集院さんを「こいつ」呼ばわりしていて、長嶋さんがびっくりした微笑ましいエピソードが紹介されていましたが、横山さんが野球をやめて、うどん屋を始めた時にひっそりと裏口から入って来て「スカしてやがった、でも話したら意気投合したんだ」っていう話も伊集院さんらしいと思いました。

この本の中には生きていく上で、忘れてはならないことがたくさん書かれていました。
あらためて読んで良かったな、と思っています。

 

2026/06/24

『デキる人は「言い回し」が凄い/日本語力向上会議』を読みました。

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『デキる人は「言い回し」が凄い/日本語力向上会議(角川oneテーマ21)』を古本で見つけ読みました。

著者?は、日本語力向上会議となっていますが、書籍・雑誌・新聞を活躍の場とする執筆集団とのこと。
とりあえず店頭でパラパラとめくってみて、買い求めました。

うっかり使ってしまったら恥をかいてしまう言葉

覚え間違いをしがちな言葉

気の利いた表現や、これが言えれば一人前?という言葉

世渡り上手な言い回し

など、私も注意せねばならない言葉がずらっと並んでいました。

やりがちなものとしては「うざい」「ぶっちゃけ」「なにげに」が挙げられていましたが、まあ若い人は日常職場でも使っている傾向があったと思います。

「煮詰まる」「役不足」の使いかたは、“逆”になっていることが多く、間違っている人がほとんどの中で、自分としてもどう使ったらよいのか迷うことがあります。

「辣腕」と「敏腕」をどう使うか。

「省略」と「割愛」の使い分けは?

などなど・・注意せねばならない言葉づかいはあまりにも多く、以前勤めていた時には、部下から「あなたの使いかたは間違っている」と指摘されたことがありましたが、間違っているのは部下でした。

「辞書で確認して」と言うと「最近はこんな使い方してるんですか?」などと負け惜しみの言葉をもらいました(T_T)・・ずうっとそんな使いかたされてたんだよと、そっと教えてあげました。

そんな人は上司にも何人もいましたっけ。

間違いを指摘され、文章を直しなさいと言われ、間違っていませんので、どうかまず辞書で確認してから指示してもらえますか?と言うと「なにぃ~っ」って怒ってから辞書を見て「最近は辞書も間違うのか」などと捨て台詞を言いながら「そのままでいいっ」って書類を叩きつけられたこともありました。

そんな人ばっかりでしたが(^_^;)あらためて私も「言葉の難しい言い回し」について確認することが出来ました。
ありがとうございました。

 

2026/06/21

「ビートルズの語感 曲づくりにも共通する遊びの発想/小島智」

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『ビートルズの語感 曲づくりにも共通する遊びの発想/小島智著(DU BOOKS)』を読みました。
2021年刊行となっていました。

ちょっと“横組み”になっているので読みづらい感じになっていたのですが、それはこの本の性格上、ビートルズが歌詞やタイトル、その他ネーミングや、普段使っていた言葉、インタビューなどでの受け応えなど、実際に「英文」で表記されている部分が多いのでしようがないのです。

取り上げられている項目については、既に私が知っていることがほとんどでしたが、それでもこれだけ一冊の本にビートルズ達がしゃべった、使った言葉を一同に集めたものはたぶん他に無いものだと思いました。

今まで私が知ったのは、伝記的なものや、音楽評論、社会学的なものなどの書籍で一部分においてふれているところを覚えていたからで、これほど網羅されているものはありませんでした。

アルバム「レット・イット・ビー」で聞くことができるジョンやジョージの話し声の内容、「Dig it」の歌詞なども、うっすらと記憶にはあるものの、全て英文で表記して、その訳と解説が付されていて、「そうだったなぁ」とあらためて思い出したりもしました。

曲のタイトルや歌詞などでも、ビートルズならではというものはたくさんあって、それらを私も思い出しつつ、ビートルズの言葉に対する“敏感さ”、独特のユーモアとセンスなども長いファン生活の中の記憶が蘇ってきました。

そしていまだにそれらを覚えている私・・(^_^;)

ビートルズの魅力に気づき、曲やアルバムだけでなく、この人たちの言葉に対するセンスはいったい・・などと思い始めている若い人がいるのであれば、この本はそういう面でのバイブル的な存在となるでしょう。

私も色々なエピソードを思い出しつつ楽しんで読むことが出来ました。

ビートルズ初心者にも、往年のファンにもピタっとフィットする本だと思いました。

 

2026/06/14

「句集 手花火/千原ジュニア」を読みました。

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『句集 手花火/千原ジュニア作・夏井いつき監修(ヨシモトブックス)』を読みました。
新刊です。
テレビ番組「プレバト」で千原ジュニアさんが永世名人となり、傑作50句が見事に揃い、めでたく一冊の句集となったものです。

すっかり長寿番組となった「プレバト」の番組中で、十数年かけての句集完成への道はたいへんな険しさだったと思いますが、あらためて50句を読ませてもらって、千原さん独自の世界が繰り広げられている俳句の世界を堪能させていただきました。

番組中の名人・特待生である梅沢富美男さん、村上健志さん、犬山紙子さんの対談も入っていて、やはり千原さん独特の“切り込み方”についてふれられていました。

同じ言葉を繰り返したり、あえて我が子の句を多く詠んだり、あるときは野性的な句も大胆に詠んだりで、私には発想がまったく及ばない世界を感じるのです。

サザエさんに後出しあいこの吾子の春

パティシエに告げる吾子の名冬うらら

などは書こうと思っても、“親バカ”と思われたら・・どうしよう、などと踏み込めないような気がします。

青光りせり750ccに花吹雪

も、自分の世界をこうまでして直接詠んでしまうのか・・と躊躇しそうに思います。

そんな中、千原さんが少年時代を過ごした地元に千原さんの句碑が建つなど、素晴らしい話題も写真付きで載っていて、読んでいる私が思わず涙しそうになったりもしました。

うれしい気持ちで読んだ新刊でした。

 

「頭の旅/外山滋比古」を読みました。

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『頭の旅/外山滋比古著(毎日新聞社)』を古本で見つけて読みました。
初出が1982年~1997年の『毎日婦人』で、2010年に、この「頭の旅」として発行されたものでした。

ですから、ものによっては四十年以上前の話になっているのですが、でも、ものごとには“普遍的”なものが内包されていて、実に滋味深い内容となっていました。

まずは文章が読みやすい。

日本語としてわかりやすい。

わけのわからない“物言い”をしない。

屁理屈をこねない。

自分がほんとうに思ったことを誇張なしに書いている。

そんな外山滋比古さんの人となりがわかるような、静かで優しい本でした。

知り合いからわけてもらった「水」がおいしくて、それで米を炊いてみたらこんなにおいしいごはんになった。

とか

今まで食べなかった「しるこ」が、京都を歩いていた時に、急にひと休みしたいくなり、「しるこ」が欲しくなって、お気に入りの「しるこ」を見つける話。

さらに帽子や、万年筆の話もありましたが、どうということもない話を淡々とされて、それがなんだか読んでいるこちらにじわじわと、やさしく沁みてくるのです。

もう、今どきのエッセイなどを読んでも味わうことのできない世界です。

このくらいのテンポと、話の展開のわかりやすさで構成されたエッセイ、今の作家で読んでみたいものです。

突然怒り出したり、読者を勘違いさせて喜んでみたり、最後に罠にはめるようないやらしいことをしたりするのは、「ご勘弁」です。

いい時間を過ごせた良い本でした。

 

2026/06/08

「もう、きみには頼まない -石坂泰三の世界-/城山三郎」を読みました。

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『もう、きみには頼まない -石坂泰三の世界-/城山三郎著(文春文庫)』を古本で読みました。
1995年に毎日新聞社から刊行された単行本で、1998年に文庫化されたものでした。

内容は実在の人物・石坂泰三の第一生命社長、東芝社長、高度経済成長期での経団連会長、そして1970年の大阪万博での日本万博協会会長という経歴をなぞり、時代背景や、時の人達の物の考え方などを睨みつつ、主人公の石坂泰三が歩んだ波乱万丈の人生を描いたものでした。

石坂氏、上記のどの時期も大変な苦労があったことは“一読瞭然”ですが、私が印象に残ったのは第一生命時代でした。

業界内でも下位の業績であった第一生命をトップの方にまで上昇させ、借金も無しに自社の金だけであの第一生命ビル(終戦直後にGHQが接収し、総合司令本部として使用したことで有名)を建て上げているのでした。

でも、せっかく建てた堅牢で、先鋭的な建物も戦時中は日本軍に利用され、戦後は進駐軍に利用されてしまいます。

石坂は、勉強家でもあり、海外からも情報を得て、この戦争は負けると早くから言い、広島に爆弾が落ちた時にも「アトミック・ボンブだ」と周囲に語っています。

総理大臣でもかまわず頼み事に行って、こいつはダメだと思えば「もうきみには頼まない」と面と向かって言うその“人物像”はたいしたものだと思いました。

東芝の立て直しや、あの土光敏夫さんを見出し、うまく使い、コンビとしても活躍していく様子にも、今までまったく知らなかった事実を知り、驚きました。

1970年の大阪万博についても、誰もが失敗する、赤字になると断った万博協会会長を引き受け、後に東京都知事になった鈴木俊一氏を女房役にして成功させ、おまけに赤字どころか大きな黒字を出しています。不祥事も事故もほとんど無かったのでした。

しかし、後に政府公式記録が出ると、全て政府当事者によって万博はなされ、万博協会は殆ど何もしなかったと記されていたのを見てたいそうな怒りを表した様子も書かれていました。

大蔵大臣就任依頼も蹴り、周囲の今となっては有名な人達とのやり取り、家族との生活、妻亡き後の悲しみと、それでも全力で困難に立ち向かう様子にただただ、感心し、唖然とし、尊敬の念も抱いたのでした。

城山三郎さんの気骨ある財界人の生涯の描き方、見事でした。
長編でしたが、流れるように読みました。

 

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