『思えばたくさん呑んできた/椎名誠著(草思社)』を読みました。私にしては珍しく“まっさら”の新刊本です。
椎名さんといえば、焚火、海、川、山、異国、秘境の地などで色々な酒を飲んでいる様子を今まで何度読んだことでしょうか。
その度に、椎名さんと酒、特にビールは切っても切れない関係にあると誰もが感じていたと思います。
その「酒と椎名さん」の関係性の「集大成」が本書と言っても過言ではないでしょう。
椎名さんは作家になる前に銀座の会社勤めをしていて、その頃から私も新人時代に経験した先輩との飲み、会社の宴会のあの頃の飲みも経験していて、そんな経験をしてきた人ですから、その後の数十人での“怒涛の焚火前での男達の酒”なんてなんでもないわけです。
むしろ、今の若い人たちの宴会嫌いな様子や、そもそもビールが苦い、酒が嫌い、なんてそんなこと理解の範疇に無いことでしょう。
そのような飲み会の話以外にも、シングルモルトウイスキーやグラッパ、ラム酒の話など、じっくりと国外で飲んだ酒についても語ってくれています。
さらに酒と共に何を肴にしたのか、どんな人達と、どんな状況で、どこの海・川・山で、どこの国で何を味わったのか、今までの椎名さんの本にも様々なことが書かれていましたが、この本ではその“おいしいところ”を選りすぐって紹介しています。
酒好き、椎名さん好きな方は読んで損のない、面白本でした。
読んでいるうちに何か酒が飲みたくなってきた・・。
『午後三時にビールを -酒場作品集-/中央公論社編(中公文庫)』を読みました。
文庫オリジナルで、2023年に初版発行されています。
酒場を舞台にした作品を中心に、酒にまつわるエッセイ、短編小説を編集したものとなっていました。
井伏鱒二、太宰治、坂口安吾、檀一雄、内田百閒、池波正太郎、開高健、向田邦子、野坂昭如・・執筆者をちょっと見ただけで錚々たる顔ぶれですが、ことお酒や酒場の話になると、作家というものは一体全体人としてこれでいいのか!という人が殆どでした。
多くの作家は基本的に夜は飲んでいる(^_^;)・・さらに朝まで飲んでいるのもたくさんいました。
それだけならまだしも、誰彼かまわず討論をふっかけ、それならまだしも喧嘩、暴力に及ぶ人も多数。
夜10時に入店し、次第に客が減り、朝8時になると店のママまで寝ている。それでも居続け、夕方の5時に店を出たなんて強者もおりました。
こんな人、今、現代に果たしているのか。
ほとんど皆自分勝手で、作家が変わって次の章に行っても、主人公が変わるだけで、酒場にいる連中が同じという(^-^;パターンがいくつもありました。
同時代の“呑兵衛作家”はこの人たちなんだな、というのがわかりました。
こんな飲み方する人って、私が新人で就職した頃に最後の残党を見たきりです。
すごい人たちが私の当時の職場にもいました。
さて、私が一番気になったのは、吉田健一氏。
お昼に、神保町の店「ランチョン」で編集者らと生ビール三、四杯を空にしたころ、「そろそろリプトンにしましょうか」という声をかけ、手にしたハンカチをヒラヒラ振って「ご主人、ご主人」と叫び、カウンター奥の主人が心得たとばかり沸騰したリプトンティーとサントリーオールドのボトルを盆に載せて持ってくる・・。
環視の中でウイスキーをダブルの計量カップになみになみと注いで、ティーカップのなかへどっと放り込む。
その儀式を皆が見守っていると、生ビールで大きくなった腹の中へ少しずつ熱いウイスキーティーを啜りこむ。
途端に酔いがまわり、陶酔した気分に陥った・・と一緒にこの儀式をした寺田博氏が書いています。
そのあと吉田健一氏は、大学の講義で教壇に立つこととなっていて、スタスタと講義に向かったという。
吉田健一氏は、「原稿四十枚」との依頼があれば、最後の四十枚目の最後のひとマスで文章が終わるようにして提出するのが常であったという・・。
これを読んで、なんだか不思議な気分になり、几帳面さと強烈な主張、そしてウイスキーティーの儀式もそれに似通っているような氏の気持ちが伝わってくると思ったのでした。
いやもう、いろんな人がいるねぇ・・と思いました。
『一杯飲んで帰ります -女と男の居酒屋十二章-/太田和彦著(だいわ文庫)』を読みました。
2012年に KADOKAWA から刊行された「男と女の居酒屋作法」を改題し再編集の上、文庫化されたもので、2022年に文庫として刊行されています。
太田さんと言えば居酒屋ですが、この本では女として、そして男としてそれぞれに居酒屋に行くときに知っておくと良いこと、また、異性を誘って居酒屋に行くときの心得のようなことが書かれていて、紹介される居酒屋はなかなかの処ですが、アドバイスは居酒屋初心者向けとなっておりました。
居酒屋でもおしゃれな町がいい、なんていう女性向けには麻布十番の「たき下」というお店が紹介されていました。
まこかれいのお造りを頼み、ガラス皿に盛った白い半透明の美しいことによろこび、厚切りなのに半透明で、薬味のはじかみ・山葵も二人用に二盛りしているのがニクイ、などと居酒屋に実際に行ったかのような紹介の仕方も楽しい本でした。
この麻布十番の居酒屋の章では、「夏の麻布十番納涼まつり」の“にぎやかさ”も紹介されていました。
私が東京勤務の時にはこのお祭りに参加し、実際にテントを出して飲み物を売ったりしたこともあったので、とても懐かしかった。
見栄を張らなくてもよい、ちょうどいいお店が次から次へと紹介されていましたが、でも実際は一度は行ってみたいと思わせる老舗も入っていて、心憎いチョイスに、さすが太田さんだと思ったのでした。
私の住んでいるところは田舎で、ちょっと歩けばそこいらへんに居酒屋があるというわけではなく、“行きつけ”の居酒屋なんて見つけずらいのですが、それでも電車で一駅・二駅くらいのところに一人呑む居酒屋なんてものを見つけたいものだと思ったのでした。
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