『80歳、不良老人です。/太田和彦著(亜紀書房)』を古本で見つけ、読みました。
古本と言っても、2025年1月発行の本なので、もう新刊です。
太田さんは「70歳、これからは湯豆腐 -私の方丈記-」「75歳、油揚がある」と、節目節目に“これはいったい何が言いたいのか”というタイトルの本を出されていて、今回80歳の大台を前にして『不良老人』というキーワードを出してきました(^_^;)・・おもしろいなあ・・。
八十歳という年齢を前にして、「もう自分はこういうふうに生きる、そう決めた」という宣言といえるような内容でした。
朝起きてからのストレッチ的な運動やスクワット、割と長距離の散歩、そしてきちんと健診を受けて身体の管理をするなど、決して“不良老人”ではないきちんとした老人宣言もしていました。
そして、酒量も落ちているらしい太田さんですが、旅に出ることについても「ひとり旅」がいちばんいいと、これからも出かけることが多そうです。
俳句を詠み、美術展にも事あるごとに足を運び、私も見習いたいです。
太田さんの「不良老人宣言」は、家にいてやることもなく、だんだんと“引きこもり”的になっていく傾向にある高齢者にはならないぞ、ということなんだと思います。
後半は、古酒について、太田さんと大きな関りのあるサントリーと資生堂についての思い出、生活の中でのオーディオや音楽について、函館、山陰、宇和島、静岡、故郷松本、京都などの名居酒屋と銘酒について、さらに63年ぶりの同級会に参加したことなども書かれていました。
これだけ書ける人生、素晴らしいです。
私にはまだ未踏の年齢域ですが、これからじわじわと参考になってくるのだと思います。
味わい深い本でした。
『関西で飲もう -京都、大阪、そして神戸-/太田和彦著(小学館文庫)』を読みました。
雑誌「あまから手帳」に連載された『記憶に残るグッドバー』『西の酒場を読む』『ぼちぼち割烹』『切り絵の中のハイライト』『変わらない人生の居場所 -大阪・明治屋-』(※2014年~2017年)を元に加筆修正し、文庫化したもので、2018年に発行されたものです。
この本の太田さん、割とそれまで数多い著書の中では“弱目”に感じていた関西に、意識して強く進出しています。
関西の居酒屋状況について、本気で“いい店”を探し、発見し、堪能しています。
もうひとつ、今までほとんど行かれていないし、本にもなっていない「割烹」に進出しています。
“酒飲み”の太田さんにとって、色々な酒を愉しみながら・・という今までの居酒屋での居方と、割烹という料理が中心のところでのバランスに最初はけっこう戸惑っている様子がそのまま書かれていました。
でも、様々なお店を訪ねていくうち、次第に酒と料理と会話のうまくミックスされたバランスを見つけ出していきます。
お決まりのコースなどに最初は翻弄されていましたが、やがてその日、その場所での気分からこんな料理をつくってほしいというリクエストを出すまでに至り、さすが太田さんだと思いました。
居酒屋についても割烹についても、大阪、京都、神戸と、絶妙なお店と店主、料理人がこの本には登場し、楽しむことができました。
また、切り絵作家との出会いから、終盤では「切り絵」とコラボしての「バー」の紹介文が披露されています。
こちらも絶妙。
カクテルをつくってくれるようなバーには、私はまだ数回しか行ったことがありませんが、また行ってみたくなりました。
色々なカクテルも名前を聞いて思い出しました(^_^)
太田さんの本は数多く読み、ご紹介もしてきましたが、また太田さんが見つけた新しいお酒と料理の世界にふれることができました。
『思えばたくさん呑んできた/椎名誠著(草思社)』を読みました。私にしては珍しく“まっさら”の新刊本です。
椎名さんといえば、焚火、海、川、山、異国、秘境の地などで色々な酒を飲んでいる様子を今まで何度読んだことでしょうか。
その度に、椎名さんと酒、特にビールは切っても切れない関係にあると誰もが感じていたと思います。
その「酒と椎名さん」の関係性の「集大成」が本書と言っても過言ではないでしょう。
椎名さんは作家になる前に銀座の会社勤めをしていて、その頃から私も新人時代に経験した先輩との飲み、会社の宴会のあの頃の飲みも経験していて、そんな経験をしてきた人ですから、その後の数十人での“怒涛の焚火前での男達の酒”なんてなんでもないわけです。
むしろ、今の若い人たちの宴会嫌いな様子や、そもそもビールが苦い、酒が嫌い、なんてそんなこと理解の範疇に無いことでしょう。
そのような飲み会の話以外にも、シングルモルトウイスキーやグラッパ、ラム酒の話など、じっくりと国外で飲んだ酒についても語ってくれています。
さらに酒と共に何を肴にしたのか、どんな人達と、どんな状況で、どこの海・川・山で、どこの国で何を味わったのか、今までの椎名さんの本にも様々なことが書かれていましたが、この本ではその“おいしいところ”を選りすぐって紹介しています。
酒好き、椎名さん好きな方は読んで損のない、面白本でした。
読んでいるうちに何か酒が飲みたくなってきた・・。
『午後三時にビールを -酒場作品集-/中央公論社編(中公文庫)』を読みました。
文庫オリジナルで、2023年に初版発行されています。
酒場を舞台にした作品を中心に、酒にまつわるエッセイ、短編小説を編集したものとなっていました。
井伏鱒二、太宰治、坂口安吾、檀一雄、内田百閒、池波正太郎、開高健、向田邦子、野坂昭如・・執筆者をちょっと見ただけで錚々たる顔ぶれですが、ことお酒や酒場の話になると、作家というものは一体全体人としてこれでいいのか!という人が殆どでした。
多くの作家は基本的に夜は飲んでいる(^_^;)・・さらに朝まで飲んでいるのもたくさんいました。
それだけならまだしも、誰彼かまわず討論をふっかけ、それならまだしも喧嘩、暴力に及ぶ人も多数。
夜10時に入店し、次第に客が減り、朝8時になると店のママまで寝ている。それでも居続け、夕方の5時に店を出たなんて強者もおりました。
こんな人、今、現代に果たしているのか。
ほとんど皆自分勝手で、作家が変わって次の章に行っても、主人公が変わるだけで、酒場にいる連中が同じという(^-^;パターンがいくつもありました。
同時代の“呑兵衛作家”はこの人たちなんだな、というのがわかりました。
こんな飲み方する人って、私が新人で就職した頃に最後の残党を見たきりです。
すごい人たちが私の当時の職場にもいました。
さて、私が一番気になったのは、吉田健一氏。
お昼に、神保町の店「ランチョン」で編集者らと生ビール三、四杯を空にしたころ、「そろそろリプトンにしましょうか」という声をかけ、手にしたハンカチをヒラヒラ振って「ご主人、ご主人」と叫び、カウンター奥の主人が心得たとばかり沸騰したリプトンティーとサントリーオールドのボトルを盆に載せて持ってくる・・。
環視の中でウイスキーをダブルの計量カップになみになみと注いで、ティーカップのなかへどっと放り込む。
その儀式を皆が見守っていると、生ビールで大きくなった腹の中へ少しずつ熱いウイスキーティーを啜りこむ。
途端に酔いがまわり、陶酔した気分に陥った・・と一緒にこの儀式をした寺田博氏が書いています。
そのあと吉田健一氏は、大学の講義で教壇に立つこととなっていて、スタスタと講義に向かったという。
吉田健一氏は、「原稿四十枚」との依頼があれば、最後の四十枚目の最後のひとマスで文章が終わるようにして提出するのが常であったという・・。
これを読んで、なんだか不思議な気分になり、几帳面さと強烈な主張、そしてウイスキーティーの儀式もそれに似通っているような氏の気持ちが伝わってくると思ったのでした。
いやもう、いろんな人がいるねぇ・・と思いました。
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